柔術初心者から上達するための学習ロードマップ
私の周囲で柔術を続けている人たちを観察していると、かなりの割合で「寝技が未経験の状態から柔術を始めた人」が伸び悩んでいる状況と遭遇します。そういう人は、ある程度のレベルからずっと自分探しの状態だったりします。
そこで今回は、初心者から上達するための学習ロードマップを個人的な経験則からまとめてみました。
どうしたら良いのか困っている白帯の方の参考になると嬉しいです。
まずディフェンスから学習する
寝技が未経験の状態から柔術を始めるなら、まずはディフェンスから学習したほうが良いです。なぜなら寝技の攻防は、ディフェンス知識に穴があったり選択ミスをしたほうが負けることが多いからです。
ディフェンスは、あまりにもガードの種類が多いので混乱すると思いますが、大きく分けると「オープンガード」「ハーフガード 」「クローズドガード」の3つになります。
その中でも、最もディフェンス力が高い「クローズドガード」から覚えるか、「オープンガード」から覚えていくのが一般的です。「ハーフガード 」は接近戦でディフェンスを半分突破された状態とも言えるので、初心者が最初に取り組むにはハードルが高い気がします。
技術の学習優先度
以下は、私の考える技術の学習優先度です。7〜10は試合で必要になるスキルですが後回しにして、まず1〜6をしっかり練習して寝技の攻防に慣れることが大切だと思います。
- 1.「オープンガード」の攻防
- オープンガードで相手を止められるようにする。まずは片襟片袖ガードから覚え、展開次第で他のオープンガードと連携する攻防を覚える。
- 2.「クローズドガード」の攻防
- クローズドガードからの攻防を覚えて、しっかり相手を止められるようにする。
- 3.「ハーフガード 」の攻防
- ハーフガードの攻防を覚えて、半分足を抜かれた状態からでも相手を止められるようにする。
- 4. 得意なガードからのスイープやサブミッション
- 最も得意なガードからのスイープやサブミッションを展開ごとに複数覚える。
- 5. サイド・ニーオンベリー・マウント・バックポジションの攻防
- 柔術で重要(試合でポイントになる)とされるポジションでの、エスケープやキープ、サブミッションを覚える。
- 6. ノースサウス・タートルポジションの攻防
- 流れの中で起こりえる、その他の展開での攻防を覚える。
- 7. 引き込みの攻防
- 安全に相手を引き込む技術を覚える。
- 8. パスガード
- さまざまなガードを突破するためのパスガード技術を覚える。
- 9. スクランブル
- 立ち技と寝技との中間で、相手と競った状態から有利なポジションを奪ったり相手を極めたりガードに入れる手段を覚える。
- 10. テイクダウン・トップキープ
- 立った状態から、相手を倒して有利なポジションをキープする技術を覚える。
所属する道場の方針によって学びかたを工夫
ほとんどの道場がこれに該当すると思うのですが、育成カリキュラムのようなものはなくて、定期的に練習に参加している人たちのレベルや課題にあわせた練習をすることが多い環境では、自分の「不足している部分」を自分で補完しないと技術的な穴がなかなか埋まりません。そのため、足りない部分を先生や先輩に教わったり、セミナーやプライベートレッスン、オンライン動画などで補ったりします。
育成カリキュラムが整備された環境だと、幅広いテクニックをバランスよく習えるので高頻度で継続して練習に参加していれば、自然と技術的な穴の少ないスタイルになると思います。
練習頻度について
順調に上達したいなら、最低でも週に2〜3日は練習することだと思います。週1回程度の練習では、前回に覚えたことや感覚を思い出すことで大半の時間を消費してしまい、技術的な課題解決や新たなチャレンジをする時間の確保が難しくて成長曲線が緩やかになってしまいます。
自分にあった技術を選択する
自分の骨格や身体特性によって、技の向き不向きがあります。体型の近い人がやっていることを参考にしたり、先生に相談してみるのも良いでしょう。
戦術を考える
いろいろと技術を習得できたら、自分の得意分野や勝負できる展開を整理して、攻防を制するための戦術を考えます。自分に何が必要なのかが分かると、重点的に練習すべき項目が分かってきます。
センスについて
競技にあったセンス(感覚)をもっていると上達スピードは速くなります。「センスがある人」というのは、最適解を察知するセンサー感度が高い人です。それは、育ってきた環境やこれまでの運動経験から獲得している身体感覚だったり、トレーニングの積み重ねだったりします。
とくに、身体感覚を養うゴールデンタイムは一般的に5〜12歳くらいまでとされていて、その頃から訓練を積んでいる人の感覚に追いつくことはなかなか難しいです。そういう人を妬んだり比較して落ち込んだりすることなく、自分にあったペースで着実に技術を覚えていくことが、上達するためには最も大切だと思います。
まとめ
柔術は「覚えておくべきベーシックな技術」の数がかなり多いので、不明点はその日のうちに解消して、技術的な問題の仮説と検証を繰り返しながら、コツコツと知識や経験を積み上げるのが大切ですね。いろいろ覚えてできるようになると、本当に楽しいですよ。
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