テイクダウンは「作り」が9割

柔道の経験がない人が打ち込みで技を覚えても、なかなか試合で使えるレベルには至りません。

試合では打ち込みのように相手が止まっておらず、相手も動いて投げられまいと防御してくるからです。しかし、テイクダウンの巧い人は組み手争いのなかで、瞬間的な「作り」で自分が投げやすい状態を作ってから技に入るのでしっかり技が掛かります。

柔道の根本原理として「作り」と「掛け」という概念があるのですが、「作り」とは相手のバランスを崩し、自分が投げるのに最も良い位置と姿勢を作ること。「掛け」とはこの作られた一瞬に最後の決め手を施すことです。そのうち、「掛け」は打ち込みなどで動作を覚えられるのですが、「作り」に関しては実戦の中で感覚を掴んでいくものなので覚えることがなかなか難しいです。そして、作りの中に含まれている「崩し」とは、体格差のある相手やフィジカルが強い相手を投げるのに必須となります。

今回はそんな「作り」についてまとめてみました。投げ技をいくら練習しても、試合やスパーリングで使いこなせない方の参考になればと思います。

崩しの基本は「八方の崩し」

崩しとは、相手の重心の矢印を足底基底面(イエロー)の外側に出すこと

「崩し」とは相手の重心を足底基底面の外側に出すことです。重心が足底基底面の外側に出ると、相手は立っていられず自立できなくなります。崩しすぎると相手は足を1歩踏み出してくるので、足底基底面の縁ギリギリ外側くらいを狙って崩します。

柔道には「八方の崩し」と呼ばれる基礎練習があり、前・後・左・右、左前・右前・左後方・右後方の計8方向への崩しがあって、体捌きと釣り手・引き手を使って相手を崩したり、不安定な姿勢で1本の棒のような状態に固めて投げやすい状態を作ります。