柔術が上達するための学習方法について
知人に「何を始めてもすぐに上達してしまう」という天才がいまして、どうしてそんなことができるのかをずっと観察していたのですが、生活習慣なども含めていろいろと教えてもらって分かったことは、彼が「息を吸うように粛々とインプットとアウトプットを積み上げている」ということでした。
そんな彼の習慣を勝手に「積み木システム」と名付けて、仕事やプライベートで活用しているのですが、ついつい覚えたいテクニックの数が多くなってしまうブラジリアン柔術のスキルアップには最適でした。
今回はそんな私の「柔術が上達するための学習方法(積み木システム)」を紹介させていただきます。練習しても全然上達しないと悩んでいる方たちの参考になりますと幸いです。
積み木システムとは
「積み木システム」とは、ざっくり説明すると「集中的に学習する分野をきめて、知識の積み上げをシステム化する」といった感じ。興味本位で無計画に色んなことをつまみ食いするのではなく「これを勉強したい」という分野を決めて学習時間・練習時間を確保します。そこで重要なのは「人間は忘れる生き物」なので、短時間でも良いので毎日継続・反復するということです。
そうして、限定分野のインプットやアウトプットをひたすら高く積み上げると、その分野だけ圧倒的な知識量と経験値になります。積み上げる分野は1つだけではなく、効率的にシステム化できれば複数にすることができます。さらに、それぞれの分野を連動させるスキル構成にすることで相乗効果が生まれて劇的に成果が上がります。
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発行KAPLA
この積み木は、とんでもない高さまで積み上げて遊ぶことが可能。楽しいです。
学習分野を絞る
やみくもにインプップやトレーニングを積むのではなく、「どこを積み上げるのか」をしっかりと絞り込みます。そして、積み上げる場所を決めたなら、それを積み上げるための習慣をシステム化します。
ある程度積み上げてから「これは違った」となるのは大変なので、しっかりと「何をやるべきか」を見定めることが大切です。ただ、自分を客観視して「強み」を分析するのはとても難しいことなので、先生や練習仲間の声などを参考にするのが良いと思います。もし自分に得意技があれば、それを軸にして検討するというやりかたもあります。
習慣をシステム化
専業でやっていない限り、ほとんどの人が「本業」をもっていると思います。その本業で、1日のうちの8時間くらいを費やしていると思います。そして8時間くらい睡眠をとっているとすると合計16時間。そうすると、「自由に使える時間」は最大8時間ということになります。
その「自由に使える時間」を可能な限り全て学習や練習に使えるようシステマチックに習慣化します。そこで大切になるのは「移動・待ち時間・食事・休憩」などの隙間時間の使い方です。暇つぶしでスマホをいじったりゲームをしたりして消費しているような時間をインプットとアウトプットの時間に割り当てます。
さらに、本業の時間中も「この動作は〇〇の練習を兼ねられないか?」と工夫したりしています。
場所ごとのルーティーン
プログラムの条件式のように、「もし〇〇の場合はXXを実行する」というようなマイルールを決めます。以下は私のテレワーク時のルーティーンの一例です。人間は行動の選択肢が多すぎると集中力を消耗してしまうので、条件反射的に学習できるよう場所ごとにルーティーンを決めています。
場所 | ルーティーン |
---|---|
ソファー | 書籍・タブレット動画で学習 |
テレビの前 | DVD・YouTube動画で学習 |
和室 | ダミー人形で打ち込み練習 |
浴室 | 入浴前に自重トレーニング・入浴後にストレッチ |
行動ごとのルーティーン
本業や隙間時間を有効活用することで学習時間やトレーニング時間を確保します。その場合、1つの取り組みが2つ以上の成果になるような「一石二鳥」となる効率的な工夫をしています。
行動 | ルーティーン |
---|---|
座る | 正しい姿勢で「背筋を伸ばして座る」トレーニング |
歩く | 「首・みぞおち・骨盤」などのポジションを意識して、体の中心軸を揃えるトレーニング |
電車に乗る | スマホで動画学習 |
食事する | 書籍もしくは動画学習(1人で食べるとき) |
待つ・並ぶ | スマホで動画学習 |
「視覚記憶」と「運動記憶」をセットにする
これは自分の経験則でもあるのですが、どうやら脳のなかで「視覚記憶(本や動画を見て覚える)」と「運動記憶(実際に反復練習して覚える)」は別で管理されているらしく、いくら教則本や動画を見て学習しても、実際の動きを体を使って覚えないと技を習得することはなかなか難しいです。
このことはデザイン制作に例えると分かりやすいのですが、素晴らしいデザインを大量に鑑賞して研究すれば、優れたデザインを判断できるようになってきます。俗にいう「目が肥える」という状態です。
しかし、「目が肥えただけの人」が優れたデザインも制作できるかというと、それだけではなかなか困難です。デザインの良し悪しは分かっても、実際に自分で手を動かして覚えないと制作技術までは向上しません。「見てるだけ」で覚えられる範囲には限界があるということです。デザイン制作の場合、これを人に伝える際には「手が覚える」と説明しています。
これは柔術にも全く同じことがいえるので、本や動画などで覚えたテクニックはすぐにダミー人形などで動きを試して記憶します。特に運動経験が浅い初心者は打ち込みなどの反復練習がとても大切だと思います。
教則動画を見ただけでテクニックを再現できる理由
教則動画などを見ただけでテクニックをすぐに再現できる人は、似たような動きの経験値が高かったり、自分が見ておくべきポイントや手順をしっかりと整理して記憶できているからだと思います。
ポモドーロテクニックを活用
ポモドーロ・テクニックとは、25分の作業+5分の休息を1セットにして連続して集中力を持続させる時間管理術です。このテクニックを活用することで、長時間でも集中力を持続させることができるようになりました。
これはおもに仕事で活用しているのですが、仕事を早く終わらせることで伸ばしたい分野の学習時間を捻出しています。時間の計測にはストップウォッチや、Be Focused Proというアプリを使っています。タスク管理にもなるので重宝しています。
まとめ
私は練習で「イメージ通りに動けた!」と上達を実感する瞬間がとても好きなので、対人での練習時間以外をどう過ごすのか工夫しています。所属道場の仲間から「テクニックをすぐに覚えられて羨ましい」と言われることがあるのですが、こんな感じで日常の時間を工夫して覚えるようにしています。
新型コロナの影響で2ヶ月くらい道場での対人練習はできていないのですが、深めたい分野の技術の知識を蓄えたり、フィジカルの補強やケガの回復などを最優先にして取り組んでいます。
価格¥2,600
順位86,687位
著大賀 幹夫
発行日貿出版社
発売日2022年7月16日
プロフィール
必須の技術を忘れないために
ブラジリアン柔術などの寝技の攻防で必須の技術の1つに「えび」というムーブがあります。えびのように身体を曲げ伸ばしして、下からのポジショニング調整に使うのですが、初心者はおろそかにしがち。
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