少ない練習量でも柔術が上達するコツ5選
柔術をやっている人には、家庭や仕事の都合で週末だけしか練習できない人もたくさんいると思います。どんな運動種目でも一般的に「練習頻度が少ない」とされるのは週に1〜2日くらい。順調に上達したいのであれば、最低でも週3日は練習したいところです。
私もここ数年、練習環境や家庭・仕事の都合もあって対人練習が週1日だけになっているのですが、試行錯誤することで少ない練習量でも上達するためのコツのようなものが見えてきたので紹介します。
同じような境遇の方々の参考になりますと幸いです。
練習頻度が週1日の環境でおきること
週に1日だけ道場で練習するような環境では、以下のような傾向になりがちです。
柔術で必要とされる筋力やスタミナが養えない
本来であれば練習やスパーリングの数をこなすことで、柔術の攻防で必要となる筋力やスタミナがついたりするものですが、そこが不足しがちになります。
習ったことを忘れてしまう
クラスで習ったことを次の練習までに完全に忘れてしまい、練習のたびに習ってきたことを思い出す時間が必要で、なかなか上達できない人が増えます。
週1回の練習日すら休みがち
日常のなかで柔術の優先度が低くなり、週1回の練習すら休みがちになります。そのまま道場から足が遠のいて、いつの間にかフェードアウトしてしまうことも多いです。
少ない練習量でも上達するコツ5選
少ない練習量で上達するには、前提としてベーシックな攻防の基礎技術がしっかりと身についている必要があるように思います。ある程度の技術的な土台があれば少ない練習量でも、得意技を磨いたり、苦手を克服したり、新たな技術を付け足したりといったアプローチが可能になるのですが、その際にもちょっとした工夫が必要です。
1. 毎日柔術に触れる
少ない練習量で上達するためには、忘却曲線を意識して「イメージトレーニングだけでも良いから毎日学習する」のが大切です。高頻度で対人練習ができないとしても、なんらかの形で柔術に触れることはできます。
2013年に行われたカナダのウォータールー大学の研究では、
- 復習しなければ1カ月後にはほとんど忘れてしまう
- 24時間以内に復習すれば、10分の復習で100%の記憶に戻る
といわれています。
引用元:エビングハウスの忘却曲線とは 最適な復習タイミングと注意点を解説
人間の長期記憶について研究した「エビングハウスの忘却曲線」という論文によると、復習をしなければ人間の脳は1日で学んだことの74%を忘れてしまうとのことなので、定期的に前回のクラスで習ったことを復習したり、課題となっている展開の教則動画を見るなどして、毎日インプットの時間を確保します。
何十回、何百回と反復学習をしていると脳が「これは重要な情報である」と判断して、短期記憶から長期記憶に変換されるので時間が経っても忘れなくなります。
私は練習で大切だと思ったポイントをイラスト化して、日常的に自分の視界に入る場所に置いていたりするのですが、そうしておくと無理なく反復学習ができるので良いインプットになっている気がします。
2. 練習の質にこだわる
練習頻度が少ない人にとって、「対人練習ができる」というアウトプットの機会は貴重です。そのため、道場に行けない時間は「次回の練習への準備期間」として、やりたいこと・試したいことを準備しておきます。
また、技術は単体で覚えるのではなく、関連した技術をまとめてグループ化したり、手順が似ているものを一緒に記憶するよう工夫すると、多少のブランクがあっても頭の中にある技術の引き出しを開けやすくなります。
3. 原理を理解する
表面的なテクニックをたくさん丸暗記しているだけでは、自分で創意工夫をする力が養われにくくなります。
少ない練習量で上達を目指すなら「なぜそうするのか」という原理・原則から理解するよう心がけると良いです。ちなみに葬送のフリーレンでも、第14話でフリーレンが似たようなことを言ってましたね。
それまで空は魔族と魔物の独壇場だったんだ。人類が使っている飛行魔法は魔族の魔法術式をそのまま転用したもので、原理がわからないまま使っているから応用ができないってこと。
人より大きなものは僅かな時間しか飛ばせない。
引用元:葬送のフリーレン 第14話「若者の特権」
4. コンパクトな技術体系を磨く
少ない練習量では覚えられるテクニックの量にも限界があるので、捨てるところはバッサリ捨てて、自分の強みを活かしたコンパクトな技術体系を徹底的に磨くのも効果的です。
登山や旅行の際、なるべく荷物を減らすために装備を厳選して必要最小限にする工夫をしたりしますが、同じような感覚です。時間は有限なので、何でもかんでも手を出していると成長が鈍化してしまいます。
5. 省エネの技術を磨く
練習量が少ないなら、なるべくフィジカルの強さに依存しない「省エネの技術」を磨くと良いです。なるべくフィジカル勝負になるような展開を作らない、体幹や自重を活かした省エネの組手技術を学んでおくと、体力や体格に優れた相手にも対抗できるようになります。
私は道場での練習はほぼ週1日だけですが、初動負荷トレーニングを週5日ペースでやっているので体幹の強さや全身の力の連動性にアドバンテージがあり、そこを活かすことも意識しています。
まとめ
少ない練習量で上達するには「自分の課題を抽出する力」と、それらを現実的な行動に落とし込み「学習を積み重ねる習慣」が必要です。これは、ある程度の経験者なら難しくないと思うのですが、初心者にはとても難しいことです。
経験が浅いと自分で適切に課題を抽出することの難易度が高いので、初心者が少ない練習量で上達を目指すには、定期的に上級者からアドバイスをもらうなどの工夫が必要なのかもしれませんね。
ギロチンチョークの刺繍が人気です
「ギロチンチョーク」はブラジリアン柔術などの寝技の練習をしている人なら、誰でも1度は練習したことがありますよね。私も好きな極め技の1つです。