教則動画レビュー:森戸新士 ワンレッグX ドミナンス
森戸選手といえば、2021年の全日本選手権で優勝候補の大本命だった毛利部慎佑選手に1本勝ちして優勝した試合が印象的です。その影響もあってか「トップや極めが強い選手」という印象だったのですが、そこへ連携させるためのボトムからのスイープも強い選手です。
そんな、森戸選手の「ワンレッグX」に特化した教則動画の収録内容について、見どころや感想などをレビューしてみました。
選手プロフィール
森戸 新士
1991年生まれ。柔術黒帯。Leos Jiu Jitsu Academy 代表。
大学留学先のカナダで柔術を始め、名門アリアンシ系列のジムやATOSで修行。就職のため帰国後、2021年の全日本選手権 アダルト黒帯ライト級 決勝戦で毛利部慎佑選手から1本勝ちをして一気に注目選手となる。
主な戦績
JBJJF
・全日本柔術選手権 黒帯ライト級 優勝(2021年)
・全日本ブラジリアン柔術オープントーナメント アダルト黒帯ライト級 優勝(2019年)
・全日本ブラジリアン柔術オープントーナメント アダルト黒帯オープンクラス 優勝(2019年)
IBJJF
・アジア柔術選手 黒帯ライト級 優勝(2023年)
この教則動画の見どころ
BJJチャンネルさんのインタビュー記事によると、森戸選手がワンレッグXを学ぶことになったきっかけは、海外のアリアンシ系列のジムで「アリアンシ本部でもトップ選手がみんなメインガードの1つとして使っているから、必ず習得して欲しい」と代表から言われたからとのこと。そうして磨いていったワンレッグXの技術は、腰を強くコントロールできるのでスイープ力が高くて、サブミッションのアタックにも連携しやすくて、道着でもノーギでも使用可能です。
今回の教則は全体的にかなりテクニカルな印象ですが、手順を覚えてしまえば使えるくらい分かり易く解説されています。とくに、足のフレームや膝を使った崩しが非常に勉強になりました。
すでにパンツグリップ系のデラヒーバガードが得意だったり、足関節技が得意だったりする方には、自分の柔術スタイルを強化するためのヒントがたくさん詰まっているように思いました。
収録内容について
エントリーから基本的なスイープの展開、応用技、他のガードへの連携など幅広く紹介されています。相手のディフェンスに対してのカウンターも豊富。
森戸選手は元新聞記者ということもあって、説明が理路整然としていて分かりやすいです。声のトーンやテンポも適切で非常に聴き取りやすく、おそらく指導者としても優秀な方なんだろうなと思いました。
個人的には、パスガードに直結した「モディファイドXガードからのレッグドラッグ」がお気に入り。あと、「モディファイドXガードへの移行 草刈りからリーヴァイボロ」はムーブがめちゃくちゃカッコいいです。
チャプター
デラヒーバからのエントリー
- DLRから 腰を蹴ってエントリー
- DLRから 相手のヘッドクォーターに対しチェアガードを作りエントリー
- DLRから スパイダーガードを経てエントリー
- DLRから 巴投で崩してエントリー
- ワンレッグXから ダブルパンツグリップスイープ
相手が襟を掴んできた場合
- ワンレッグXから 相手が襟を掴んできた場合 ダブルパンツグリップのままリフト
- ワンレッグXから 相手が襟を掴んできた場合 後転スイープ
- ワンレッグXから 相手が襟を掴んできた場合 メレガリスイープ
相手が袖を掴んできた場合
- ワンレッグXから 相手が袖を掴んできた場合 グリップを切る
- ワンレッグXから 相手が袖を掴んできた場合 帯を掴んで草刈り
相手が膝をついた場合
- ワンレッグXから 相手が膝をついた場合 テクニカルスタンドアップ
- ワンレッグXから 相手が膝をついた場合 右脚を出してバックテイク
相手がパンツを掴んできた場合
- ワンレッグXから 相手がパンツを掴んできた場合 リバースウェイターガードからバックテイク
モディファイドXガードへの移行
- モディファイドXガードへの移行 クラブライドからのバックテイク
- モディファイドXガードへの移行 レッグドラッグ
- モディファイドXガードへの移行 草刈りからリーヴァイボロ
ラペラを使った展開
- ラペラワンレッグX 草刈り
- ラペラワンレッグX ハニーホール
- 相手が襟を掴んできた場合 テクニカルスタンドアップ
- 相手が襟を掴んできた場合 レッグドラッグ
- 相手が襟を掴んできた場合 背後へ回る
- 相手が襟を掴んできた場合 相手の前転に対してバックテイク
アンダーフックデラヒーバ
- アンダーフックデラヒーバ ダブルパンツグリップスイープ
- アンダーフックデラヒーバ アンクルグリップを作りターキッシュゲットアップ
Kガード
- Kガード 浅いマトリックスからバックテイク
- Kガード ディープマトリックスからバックテイク
- Kガード ディープマトリックスからバックテイク2
この試合で森戸選手は、引き込みからクローズドガード → デラヒーバ → ワンレッグXという連携を使っています。森戸選手の試合を見ているとクローズドガードの組み手で相手を崩して有利な展開へと繋げることが多いので、前回レビューした村田良蔵選手のクローズドガードの技術とも相性が良さそうな印象。
ダウンロード形式のVimeo版と、DVD・Blu-ray版があります
BJJチャンネル作品の進化が止まりません。前作同様の丁寧なテロップ編集はもちろんのこと、別アングルからの再生・まとめ画面でのスローモーション再生など、動画編集へのこだわりがすごいです。それなのにギリギリ演出過剰にはなっておらず、テンポの良さは保たれているという絶妙なバランス。
※ 森戸選手のジムの名前がLEOSだから「ガオー!」っていう獅子の声が各章の冒頭で入るんですかね(笑)
2016年から国内および海外のブラジリアン柔術 教則動画を豊富に取り扱い、圧倒的な量の教則動画を鑑賞してきたBJJチャンネルさんの経験とアイデアが、他との大きな差別化要因になっているように思います。
Vimeo版
DVD・Blu-ray版
まとめ
今回のレビュー記事を書くにあたり森戸選手の試合動画もけっこう見たのですが、どのポジションにいても姿勢がすごく良いですね。体幹が強くて自重を活かしたベースを作る動作が巧いので、自分が理想としている柔術に近くてとても参考になります。
森戸選手が得意としているレッグドラッグの教則動画も発売を予定しているらしく、すごく楽しみです!
プロフィール
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