教則動画レビュー:木部 亮「戦術的リバースハーフガード」

「リバースハーフ」については、テクニッククラスで習って基本的なことは知っているけど、あまり深掘りしてこなかったという人がほとんどではないでしょうか。

今回は、そんな「リバースハーフ」に関する木部 亮選手の教則動画がBJJチャンネルさんから発売されたので、収録内容についてレビューしてみました。

リバースハーフとは

リバースハーフガード

「リバースハーフ」とは、ボトム側がハーフガードに入った状態からトップ側が足を絡まれた側に腰を切ってポジション移動をした状態。一見ボトム側が不利なようにも見えるのですが、ディフェンスが強くてスイープも豊富なガードです。

リバースハーフでの展開をトップ・ボトムどちらも収録

木部 亮先生の
ガードシリーズ第3弾!

この教則はリバースハーフガードからのトップ側とボトム側の対処をどちらも収録しているところに特徴があります。

通常の教則動画ではなく、セミナー動画を編集した構成なのですが、チャプター内で初心者や経験者の問題点を解消したり疑問に答えたりしているところが分かりやすくて良いなと思いました。

大好評だったシングルレッグハーフの教則と関連性の高い展開なので、その続編であるとも言えます。

【収録内容1】トップ側からのアタックと、そのディフェンス

リバースハーフからのパスガード

リバースハーフで最も基本とされる「足抜きパス」は、基本戦略としてチャプター3で少しだけ触れられています。チャプター4以降は攻撃のバリエーション展開という位置付けでしょう。

チャプター4「逆サイドへのニーカット」とチャプター14「密着しないパス」は初見の技術でしたが、知っておくとかなり強力なパスの選択肢となりそうです。

それから、「両脇をコントロールするパス」は自分の所属道場の先生が得意とする展開。ここで紹介されているディフェンスでは防げない技術や、この流れから狙えるサブミッションなども習ったことがあります。これはマルセロ・ガルシアが得意としている技術だそうです。

【収録内容2】ボトム側からのアタック

リバースハーフからのスイープ

リバースハーフはシングルレッグハーフやディープハーフをメインのガードで使っている人には頻出のシチュエーションなのですが、その王道的なボトムからのスイープが2つ紹介されています。

まず1つ目の「ブリッジスイープ」は失敗するとパスに直結してしまう諸刃の剣のような技。基本的にディフェンスを重視しながら「ここだ!」という必殺のタイミングでスイープするのが大切と述べられています。

そのタイミングの1つとして、リバースハーフに入ってきたタイミングで相手の腰をコントロールして通常のハーフ側へ戻してコヨーテハーフを狙い、それを嫌がってリバースハーフ側へ戻ろうとする動きへのカウンターでブリッジスイープを狙ったりなどが紹介されています。

また、2つ目の「フックスイープ」に関しては、相手が距離を詰めてディフェンスしてきた場合の対処として「ロックダウンスイープ(フィッシュネット)」が紹介されていたのですが、これは初見の技でした。とても興味深い技でした。

収録内容リスト(再生時間:55分)

  • イントロ リバースハーフガードとは
  • リバースハーフガードになるシチュエーション
  • リバースハーフガードでやってはいけないこととリバースハーフガードパス①
  • リバースハーフガードパス②(ニーカットパス)
  • リバースハーフガードに対するニーカットパスへの対処
  • ハーフガードにおける脇の差し方
  • しがみつくハーフガードでは膝を掴む
  • 3/4マウントはとらせない
  • リバースハーフガードスイープ① ブリッジスイープ
  • ブリッジスイープを狙うタイミング
  • リバースハーフガードスイープ② 通常のハーフガードスイープ
  • リバースハーフガードスイープ③ フックスイープ
  • リバースハーフガードスイープ④ ロックダウンスイープ(フィッシュネット)
  • リバースハーフガードに対する密着しないパス
  • リバースハーフガードスイープ⑤ 14のパスに対する腕固めスイープ
  • 距離を取ってきた相手に対する袖を使ったコントロール
  • 両脇をコントロールするリバースハーフガードパス
  • 脇をコントロールされた場合の下からの対応
  • アウトロ

こんな人にオススメ!

どちらかというと、これからリバースハーフの展開を覚えていきたい人向けという印象。これまであまりリバースハーフの展開に触れてこなかった青帯以上の人に最適な内容だと思いました。

リバースハーフの展開は、トップ側かボトム側にある程度のレベルがないと使う機会が少ないので、ここまでの知識は初心者には不要かなと思うのですが、もし前作のシングルレッグハーフだったりディープハーフに注力しているのであれば、レベルアップのために学んでおいて良いと思います。

学び易さを考慮したテロップ編集がさらに進化

久しぶりに見てみたらBJJチャンネルさんのテロップ編集がさらに進化していて、学び易さを考慮した工夫が随所にありました。まるで「テレビの学習コンテンツ」みたいな感じになっていて、そのちょっとやり過ぎてる感じが面白いです(笑)

教則動画のフォーマットについて

BJJチャンネルさんの教則は、ユーザーの閲覧環境にあわせてフォーマットを選択できるのが良いところ。ダウンロード形式のVimeo版(オンデマンド視聴も可能)と、物理フォーマット形式のDVD・Blu-ray版があります。

まとめ

接近戦型のハーフガードを使う頻度が多い人は、リバースハーフ側にも得意技を持っておくと非常に強力な武器となります。とくにシングルレッグハーフやディープハーフとセットで装備しておくのがオススメです!

木部先生の教則「戦術的ディープハーフガード」は、このリバースハーフガードと関連性がとても高いです。本作と同様、トップ側・ボトム側のアタックが収録されています。

プロフィール

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

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