柔術道場で「消える白帯」と「生き残る白帯」の違い
所属道場で私よりあとに柔術をはじめて、いまでも続けている白帯の継続率は10%くらい。1年以上続くことは稀で、大抵の人がいつの間にか消えていました。その大半は仕事や家庭環境の都合だったりするのですが、そうでない場合はある程度のパターンがあるように思っています。
そこで今回は、私の所属道場での「消える白帯」と「生き残る白帯」について書いてみようかなと思います。地方の小さな町道場での個人的な感想と経験談ですので「そんなこともあるんだな」くらいの気持ちでお読みいただけると幸いです。
消える白帯
意気込みが過剰
初日からちょっとテンションに違和感があったり、意気込みが過剰で空回りしているタイプは、だいたいすぐいなくなる気がします。気分にムラがあって「熱しやすく冷めやすい」のかもしれません。
自己評価が過大すぎ
いまどき、ちょっと検索すればある程度の情報が簡単に手に入るので、インターネットで調べた断片的な知識から誤解したり過大な自己評価になっていたりして、現実とのギャップで早々に練習に来なくなってしまったりします。
格闘技経験者
意外なことに、格闘技経験があって最初からけっこう強い人もいつの間にかいなくなったりします。別ジャンルである程度の実力や実績を残した人が、全てを捨てて白帯からスタートするというのは相当な熱量と覚悟が必要です。古傷が悪化してしまったり、未知の分野で技術的な壁にぶつかって心が折れたり、飽きてしまったりするのかもしれません。
生き残る白帯
教わり上手
先輩がつい教えてあげたくなってしまうような教わり上手な人はけっこう生き残る可能性が高いです。上達も早まるし、道場内での人間関係をうまく構築できるので、居心地がよくなるのだと思います。先輩を味方につけるってとても大事なことです。
勉強熱心
興味をもったらトコトン追求するタイプも生き残ってます。毎回練習テーマを紙に書き出してきたりして、スパーでは思い通りにならないことのほうが多いので練習後に打ち込みしていたりします。熱心に頑張ってる人は、周囲も応援したくなります。
モチベーションの波が少ない
モチベーションの波が少なく、コンスタントに練習に来る人は生き残ることが多いです。1年続けられる人はだいたい、ずっとやっていける人。柔術の練習強度に順応してフィジカルも強くなってます。
初心者の育成はとても難しい
仕事でも同じですが人に何かを教える場合、素人に教えるのは簡単と思われがちですが、知識や経験のベースがない相手ほど教えるのはとても難しいです。相手が理解できるように伝えるには、伝える側がより深く構造や手順を理解している必要があり、さらに相手が理解できる言葉に翻訳して伝えなければなりません。その工夫した言葉ですら伝わらないことが多いので時間と根気が必要です。
とくに共通言語の手がかりが少ない子供や素人を一定レベルまで上達させるには、高度なコミュニケーションスキルと育成ノウハウが必要です。以下は数年前に読んだ指導方法に関する記事ですが、すごく共感できるのでシェアします。
例えばソフトテニスの場合。ラケットの真ん中にボールが当たらない子がいたら、「真ん中に当てろ!」と叱るのではなく、「どうして真ん中に当たらないのかな?」と考えます。ひょっとしてその子は「真ん中」の感覚がわからないのかもしれない。そう気づいたら、ガットの真ん中に穴を開けたラケットを使って練習します。ボールがその穴を素通りしたら、真ん中に当たっているというわけです。こうすれば、子どもはすぐにボールを真ん中でとらえる感覚がわかるようになります。
「できない理由を考えて、その理由を取り除く」
この指導法は、スポーツを始めたばかりの子どもでもそうですし、インターハイにいくようなトップ選手でも同じように使えます。そして、これは、勉強でもまったく同じです。
「できない子」を伸ばす親に共通する1つのコツ より引用
まとめ
未経験の白帯がどんどん上達したり、長く続けられるような道場こそが理想的な練習環境だと思うのですが、アドバイスをもらえる経験者が周囲にいないと、選択肢が多すぎて何をやっていいのか分からなくなりがちです。
その際に、これは私の持論ですが、上手くできない人に「なんど言ったら分かるんだ」「いつになったらできるの 」と相手を責めることになんら生産性はなくて、アドバイスを求められたら「どうしてできなかったのだろう」と一緒になって振り返り、改善方法を考えたりしてくれる人が側にいるだけで、人はそれぞれのペースで成長できるはずだし、ドロップアウトが減ったりします。
これは子育て経験から学んだ教訓でもあったりします。なかなか難しいことですけど。
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