ブラジリアン柔術の青帯になる条件とカリキュラム(後編)

※この記事は後編になります。青帯になるために必要なテクニックなどがまとまっている前編はこちらです。

7. マインドセット

青帯への必要条件を検討していると、たいていの人が見落としてしまうのがマインドセットの部分です。ブラジリアン柔術に対するマインドセットは、技術や動きと同じくらい重要です。

「トップポジション」と「ボトムポジション」が何であるか、「ガード」の定義などを認識しておく必要があります。また、試合で加点されるポジションを明確に区別しておく必要があり、ポイントには序列があって、より多くのポイントを獲得するポジションがあることも理解しておくべきです。学習しておけば、効果的な戦術を構築できるようになるでしょう。

もう1つ、私が青帯になるために重要だと考えているのは、白帯が混沌とした状況にどのようにアプローチするかということです。「何も知らない」「全然できない」といった言葉を耳にするのは普通のことですが、それを変えたいという願望を持っていれば、次のレベルに進む準備は万端です

それから、マインドセットで最も重要なのはタップをすることです。自分よりも下の階級・下の帯が相手でもタップをする心の準備が必要です。

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8. セルフディフェンス

現在では、柔術は護身術というよりもスポーツとなりました。しかし、それでも護身術として有効であることに変わりはなく、誰もが護身として重要な部分を学ぶ必要があると私は考えています。

青帯であれば知っておくべきグラップリングベースの護身術は3つあります。

  • ヘッドロックエスケープ(立った状態)
  • 間合い調整 (立った状態)
  • クリンチ技術

9. ドリルとスパーリング

一部のアカデミーでは初心者にしばらくスパーリングはさせず、ポジショニングスパーに制限したりしますが、あまり意味があるとは思えません。訓練は早い段階から行うべきものであり、打ち込みドリルと、シチュエーションドリルを行うべきだと思います。

例えば、打ち込みドリルであればガードパスのテクニックを100回ほど繰り返す。シチュエーションドリルであれば、クローズドガードに引き込んでシザースイープで返しマウントをとってアメリカーナでフィニッシュするなどを反復練習します。

スパーリングに関して言えば、青帯になるために大切なのは 「認識する」 ということ。自分がどんな状況にいるのかを理解して、どのような行動をとるべきかを認識できている必要があります。

10. 行動

青帯を取得しようとしている白帯であれば、知っておくべき 「日常的なマナー」 がいくつかあります。

スパーリング中に無駄話をしないこと。教えられていることを傾聴すること。それから、「帯を正しく結ぶ」「列のどこに並ぶべきかを知る」「時間通りに行動する」「ウォームアップを適切に行う」そして「新人をできる限り手助けする」などの役割も、青帯には求められます。

11. その他

青帯としての必要条件として「ボーナス」のようなものがいくつかあります。柔術ではあまりフィットネスや運動能力は問われませんが、いくつかの基本的な運動ができてコンディショニングの基盤を持っていると有利です。

試合する

試合に出場しなくても青帯だけでなく黒帯にも到達できます。試合に出ることは必須ではありません。しかし、試合で非常に優秀だったため非常に早く帯を取得する人もいます。

競技者として青帯レベルで戦う準備をする場合、戦術的な認識と競技ルールを知ることが最も重要です。

フィジカルトレーニング

柔術の練習に本格的な運動能力は必要ありません。練習でスパーリングをすることを除けば、コンディショニングや筋力は特に必要ないです。腕立て伏せを最低30回、腹筋を50回、懸垂を10回できて、 3kmくらい走ることができれば充分でしょう。それから柔軟性。特に腰や肩の柔軟性があると良いです。

コンセプト vs テクニック

最後にブラジリアン柔術の現代的な取り組みについて一言。柔術のコンセプトを科学的な比喩や哲学的な引用によって説明しようとする人々がいます。確かに効果的ではありますが、コンセプトはテクニックなしでは機能しないし、その逆もまた然りです。つまり、指導者は必須のテクニックに加えて、カリキュラムにコンセプトを組み込んで、両方のバランスをとる方法を見つける必要があります。

白帯にコンセプトを教えるのであれば、ベース、姿勢、構造、呼吸を主なものとして理解しておくことが効果的です。それから、IBJJFは白帯のノーギ出場を認めていないけど、白帯から練習を始めるべきです

まとめ

青帯

後編では、マインドセットや練習内容などについて言及されていました。特に印象的だったのはセルフディフェンスについて。せっかく柔術を学んでいるのだから、護身にも活かせたほうが良いですよね。

素人の喧嘩では胸ぐらを掴まれたりヘッドロックされたりするのは頻出の状況なので、立った姿勢での「ヘッドロックエスケープ」と「クリンチ技術」を磨いておけば、暴漢に絡まれたとしても相手のコントロールから脱出して、あわよくば柔術で制圧できるでしょう。

それから、全体を通して思ったのは、白帯の頃はバランス良く「知識のパーツ」を集める時期であるということ。ひと通り基本的な「知識のパーツが揃った状態」が青帯なのかなと思いました。そこから技の精度や連携・強みに磨きをかけて、柔術の完成度を高めていく感じでしょうか。

プロフィール

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

必須の技術を忘れないために

えび

ブラジリアン柔術などの寝技の攻防で必須の技術の1つに「えび」というムーブがあります。えびのように身体を曲げ伸ばしして、下からのポジショニング調整に使うのですが、初心者はおろそかにしがち。

そんな基本ムーブを忘れないよう、普段から刺繍グッズを身につけるのはおすすめです!