ブラジリアン柔術の黒帯になる条件とカリキュラム(前編)

ブラジリアン柔術の黒帯とは、昇帯制度における最終到達点。私にとっては直近で目指している1番大きなゴールなのですが、一体どのくらいの実力が必要なのでしょうか。
黒帯としての必要条件とカリキュラム

BJJ WORLDの編集長でありINFINITY BJJ SPLITのヘッドコーチでもあるディノ・モスカテロさん(黒帯)の「BJJ Black Belt Requirements And Curriculum(黒帯としての必要条件とカリキュラム)」という記事が興味深かったので、分かりやすい日本語に翻訳しながら要点をまとめました。
以下、翻訳まとめ記事です。
※翻訳記事の掲載許可取得済み
黒帯とは何か
黒帯はゴールのようでいて、実は新しいスタートラインです。一般的にブラジリアン柔術で黒帯を得るまでには約10年かかると言われていますが、取得できる人はごく僅かです。
必要となるのはテクニックだけではなく、「動き方」「考え方」「人としての成熟」などもあります。
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今回の記事は茶帯としての必要条件とカリキュラムの続編です。こちらもぜひお読みください。
黒帯としての必要条件とは
黒帯への昇帯は、柔術における「食物連鎖の頂点」への到達でありながら、同時に「黒帯の世界の最下層」からのスタートでもあります。なぜなら、すでに何十年も黒帯を巻いている達人たちも競争相手となるからです。
黒帯の共通点(特徴)
- 無駄な力を使わない。必要な時だけ動く
- 「動かずに勝つ」ことを理解している
- 技の理由(なぜそれが効くのか)を理解している
- 困っているように見えても、じつは余裕がある
- 立ち技も寝技も「最小の動き」で相手を制する
- 柔術を“感じて”動くレベルに達している
つまり、黒帯とは「自分の柔術を作り出し、進化させる段階」とも言えます。他人の型を真似る段階を越えて、創造と理解のフェーズに入ることを意味します。
以下は、黒帯になる前に満たすべきスキルと姿勢です。
1. ムーブ

「20%の動きで、100%の成果を出すような効率性」をもち、相手の些細な初動を感じ取って自身の体を反応させる「ミラーリング」をマスターしており、まるで未来を知っているかのようなタイミングから、極めて精度の高いムーブができるなら間違いなく黒帯級の実力者でしょう。
「動かないこと」すら技の一部となりえます。
2. ボトムゲーム
ガードの領域では、どんなガードでも安定して使えて、相手を「原理で動かす」ことができます。
シンプルな動きで相手を崩し、グリップファイトと体の角度で相手をコントロールします。また、ケガと付き合いながら自分に合う動きを探すこともできます。
クローズドガード

黒帯のクローズドガードの秘訣は簡単です。できるだけコントロールしやすいシンプルなグリップを握り、足を使って相手を動かすだけです。そこから相手を倒したり、サブミッションの選択肢を作ったりするための原則を活用すればいいのです。
あるいは、カウンターに習熟しているなら、ガードを突破させて最も隙のあるところで相手を捕らえるのも良いでしょう。また、ドンキーガードのようなちょっと変わった技も自由に試してみても良いでしょう。
クローズドガードからの攻撃
黒帯のクローズドガードの要件は、あまり動かずに相手をサブミッションに持ち込むことです。
言い換えれば、6つの手順でのアームバーをするのではなく、1つの手順でクローズドガードからアームバーのフィニッシュポジションへセットアップできることが必要です。
そのためには、必要な優位性を獲得するには「コネクト」「崩し」「グリップファイト」などの概念を理解する必要があります。
オープンガード

どこもケガをしないで黒帯まで昇帯できる人はあまりいません。つまり、特定の動作で不快感や痛みを感じることもあるということです。
黒帯のオープンガードでは、どこが一番痛みを感じにくいかを知ることが不可欠です。ガードの構造を理解することに加えて、リバースXガード、ストレッチガード、リバースDLRロックダウンなどは、保持しやすいガードでありながら、主にサブミッションという形で非常に多様な攻撃を繰り出せるガードの例です。
オープンガードの攻撃
オープンガードからどうやって攻撃するのでしょうか?
まずはパスできないようにして、相手がパスを試みるようにします。そうすれば、相手がガードの層を突破しようと奮闘する中で、意図せずしてグリップや体勢崩しのチャンスを掴むことができます。
ブルドーザースイープや多方向攻撃といったシンプルな攻撃は、この場面でも完璧に機能します。もし集中すべき点があるとすれば、それは最初からグリップファイトに勝つことです。
ハーフガード

茶帯から黒帯を目指すなら、ハーフガードで楽しみましょう。
あまり知られていない様々なハーフガードをマスターすることは、ブラジリアン柔術の黒帯取得に必要な条件の1つです。クォーターガードのような体勢からでも、相手をサブミッションやスイープに誘い込むことができるのは、真の黒帯の証です。
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3.トップゲーム
黒帯になりたいのであれば、重くプレッシャーをかける方法を学ばなければなりません。相手を潰して動けなくするコントロール能力からサブミッションを極めるまで、相手を翻弄し続けることです。
サイド、マウント、バック、ニーオンベリーなど全ての上ポジションで支配して、相手が逃げたくなるほどの圧を与え、逃げた瞬間に極めるのです。
サイドコントロール

黒帯を真に定義するプレッシャー・ポジションがあるとすれば、それはサイドコントロールです。
サイドコントロールに到達したら、まずは重いプレッシャーをかけ始め、それを全身を使って維持して相手を苦しめ、さらに他のグラップリング格闘技の技にも立ち返ってコントロール力を高めることこそが、真の黒帯の証です。
マウント

BJJの黒帯に求められる重要なポイントのひとつが、マウントから相手を完全に制圧することです。
クロスフェイスを正しく使えると、その支配力は一気に高まります。
どの高さのマウントでも、相手に強いプレッシャーをかけ続けることが大切で、とくに胸への圧力で相手の動きを封じることが効果的です。
さらに、相手が逃げようとするたびにその試みが逆に自分のコントロール強化につながり、「脱出しようとしても無駄だ」と感じさせられる状態にできれば理想です。
バックコントロール

相手の背中で上下に動き続けて、まるで「外れないバックパック」のように密着しながら攻撃を仕掛け続けられることこそ、黒帯のバックコントロールの真骨頂です。
上下に移動できるということは、三角絞め、バックチョーク、腕絡み、さらにはツイスターやトラックアタックなど脚への攻撃まで、あらゆるサブミッションへ移行できるという意味です。
背後から絶えずプレッシャーをかけ、攻めの手を止めず、それでいてポジションを一切手放さない。この“外れない・揺さぶり続けるバックコントロール”こそ、黒帯に求められる条件と言えるでしょう。
ニーオンベリー

少し発想を広げてみましょう。
「ニー・オン・ベリー(膝を腹につけるポジション)」は非常に優れていますが、よく考えると膝やスネを当てられる場所はお腹だけではありません。
首、肩、肘、肋骨・・・どこにでも膝を押し当てることで、同じように強烈な圧力と痛みを生み出せます。そのプレッシャーが相手の体勢を崩し、スムーズなトランジションや直接サブミッションへの移行につながるのです。
亀の攻撃

「亀」は、茶帯・黒帯レベルの上級者であっても崩すのがとても厄介なポジションです。黒帯に求められる重要な要素のひとつは、「移行の瞬間を攻撃に変えること」です。
亀の相手から肩・腰・足首がほんのわずかでも見えた瞬間、黒帯はそのチャンスを逃しません。そこから必ず起こる体勢の移行を利用して攻撃に入り、ポジションを制圧していきます。
スタッフィング(クレイドル)やフロントヘッドロックのチョークなどは、黒帯が亀を攻略する代表的な武器と言えるでしょう。
4. ガードパス

黒帯レベルに求められるガードパス能力とは、どんな相手に対しても、どんな種類のパスでも通せることです。
動きは滑らかで途切れず、四方向すべてに展開しながら、3つのパススタイル「ルーズパス」「タイトパス」「サブミッションパス」を状況に応じて使い分けられる必要があります。
黒帯のガードパスが本当に優れているかどうかは、相手が下からスイープもサブミッションも仕掛けられない状態のままパスできるかで決まります。
もしまだそれが達成できていないなら、黒帯に必要とされるレベルまではもう少し道のりがあると言えるでしょう。
そして、黒帯としてガードをパスできるようになったとき、あなたは周りの人を魅了し、「どうやってそれをやったの!?」と驚かれる存在になります。
5. 立ち技

黒帯クラスになると、立ち技ではほぼ何でもできるようになります。
投げる・テイクダウンを決める・引きずり倒す、さらにはその場で立ったままサブミッションを仕掛けることさえ可能です。
テイクダウンに関して黒帯に求められる要件は、相手のグリップ位置と姿勢を完全にコントロールし、サブミッションの連携のようにテイクダウンを次々とつなげていけることです。
サファダやトレインレックのようなシンプルな技、そしてロシアンタイのようなレスリングの定番技も、テイクダウンの入口として非常に効果的です。
6. サブミッション

サブミッションにおいて重要なのは、黒帯が「極められるかどうか」ではなく、「いつ極めるか」です。
黒帯を目指すなら、どの技を使うかよりも「どのタイミングで仕掛けるか」を深く考える必要があります。
先述したとおり、黒帯レベルではタイミングがすべてです。
その一瞬を捉えられるようになると、サブミッションの成功率は劇的に変わります。
また、キャッチレスリングやサンボなど、他のグラップリング競技のあまり知られていないサブミッションを研究・実験するのも、黒帯に近づいている証です。
7. エスケープ
優れた茶帯や黒帯のエスケープには、独特の「何か」があります。
彼らはまるで、不利な状況に追い込まれることすら少し楽しんでいるかのようです。
どんなポジション攻撃やサブミッションにも対応できることは、黒帯に必須の条件ですが、優れたグラップラーはあえて不利な体勢に入り、そこから「非常識なエスケープ方法」を見つけ出そうとすることがあります。
正直、狂気じみていると言ってもいいでしょう。
たとえば、普通なら逃げ場がないような状況から、突然すっと立ち上がってしまう。そんなエスケープです。
まとめ

強い黒帯の先輩たちに話を伺うと、ほとんどの人が知識と経験を大量に積み上げたあとで、質の追求をする境地にたどり着いています。
そして強い人であればあるほと、やることがシンプル。より少ない手順でフィニッシュに至る人が多いです。そのため、ディノさんがいう黒帯の共通点(特徴)はすごく納得感がありました。そういう人に私はなりたい・・・(願)
今回は、おもに「黒帯で必要となるスキル」についてまとめましたが、後編では「黒帯としてのマインドセットや取り組むべき練習内容」などについて紹介します。
プロフィール

後編は、「マインドセット」や「練習内容」について
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