ブラジリアン柔術の試合で勝つために大切なこと

以前に書いた「ブラジラリアン柔術で強くなるために大切なこと」という記事がとても人気があるようなので、今度は試合で勝つために大切にしていることをまとめてみました。

私も試合経験はあまり豊富ではないのですが、悩んでいる方々の参考になりますと幸いです。

技は力の中にあり

これはジークンドーの先生に教えていただいた言葉なのですが、武道の技が考案された時代と比べて現代人は全身の筋力の連動性で劣っているため、優れた技を習得しても本来の技の威力に到達することは難しいそうです。技を究めるにはまず強靱な肉体がベースにあって、その上でそれぞれの力を連動して使えることが重要ということです。

そのため自重トレーニングなどの補強運動は、練習とセットで必ず行うようにしています。体幹やインナーマッスルを中心に鍛えながら、自分の得意技に必要な部位の筋力と全身との連動性を意識してトレーニングをしています。「強靭な肉体」というと、ボディービルのようなトレーニングを想像する人はとても多いのですが、大切なのは連動して使える筋力を補強することなので、目的もなく特定部位ばかり筋肉を増やしても、あまり効率的ではないと考えています。

練習パートナーごとに練習目的を考える

  • 「正確な動きの練習」= 自分と同等か自分よりも弱い相手
  • 「技の問題点を探す」=自分よりも強い相手

よほどの恵まれた環境でない限り、必ずしも練習環境は自分より強い人ばかりではないので、練習パートナーのレベルにあわせて自分にとっても相手にとっても有意義な練習目的を考えます。目的なく惰性でスパーリングをするのは時間の無駄になるので、最大限の工夫をして練習します。もし最適なパートナーがいなければ出稽古に行くことも考えます。

また、普段から「これほど強い人たちと練習してきたんだから負ける訳がない」と思えるくらいのパートナーと練習しておくことはとても重要です。そうすることで、本番では対戦相手が弱く感じるくらい気持ちにゆとりが生まれます。

対戦相手の思考・判断のスピードを上回る

対戦相手の思考や判断を上回るスピードで動くことができれば、相手は対応することが難しくなります。経験したことのない展開も同様の理由で対応が難しいです。それらを実現するために、普段から様々な状況を想定して自分の強みを活かす方法を検討し、試合で考えるよりも先に体が動く状態になるまで徹底的に反復練習をしておきます。

15年間不敗のまま引退した史上最強の柔道家と称される「木村政彦選手」は、とことんまで練習をやりきると眉間のあたりに「勝」という文字が浮かんできて、その状態になると負けることは1度もなかったそうです。

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試合は「試し合い」だと考える

「試合」とは書いて字のごとく、お互いに「試し合い」をする場所です。つまり試合も練習であると解釈して、試合ごとに「今回はなにを試すのか」のプランを立てています。重要なのは目の前の試合に勝つことではなく、「最大の目標とする試合」で勝つために、いま何を試しておくべきかです。

海外で未知の強豪選手と試合することを想定して、試合中に相手の強みや狙いを察知できるようになるために、あえて事前に相手のことを調べたり試合を見たりすることも今はしてません。

練習不足の技は使わない

あまり練習していない技が試合で有効そうな展開になっても、なるべく使わないようにしています。中途半端な状態ではミスにつながって予期せぬ自滅の元になります。そんな不本意な状態で負けるくらいなら、可能な限り準備してきたプランで勝負したほうが今後の糧にもなるし、勝算も高いと考えています。

結果ではなくプロセスを意識する

「優勝する」や「メダルを取る」などの結果を意識して成果を出せる人というのは、技術的にもメンタル的にも超ハイレベルのアスリートだと思います。多くの人は試合結果を目標にしてしまうと、緊張やプレッシャーから余計な力が入ってしまって不意をつかれたり自滅したりします。

そのため凡人の自分は、結果とは「プロセスの集積である」と考えることにして、対戦相手に勝つことではなく局面単位で「相手の技術に勝つ」ということを意識しています。そうして局面ごとの小さな勝利を積み重ねて、着実に最良の結果を自分へたぐり寄せることを大切にしています。

逆境に屈しない

極論ですが「絶望とは愚者の結論」です。賢者とはどんな逆境にも希望を見つけ出すものです。どんなに不利な状態になったとしても決して屈しない。絶対に諦めない気持ちが大切だと思います。

ただし、これは絶対にタップ(降参)をしないという意味ではありません。ケガで練習できなくなることを最も避けるべきなので、完璧に極められたら潔く早めにタップしましょう。

試合に挑むメンタル的には、「絶対に勝ちたい(優勝したい)」という意識だとトップアスリートでもコントロールが難しいので、「絶対に負けたくない(あらゆる逆境に屈しない)」という意識で挑みます。そうすることで、攻めの気持ちになりすぎて無謀なチャレンジからミスをしたり、気持ちが守りに入りすぎて本来の動きができなくなってしまうことを防ぎます。

まとめ

最終的には100%の実力を本番で発揮することが大切なので、メンタルの部分が最も大切なのかもしれません。私はこれらのノウハウを活用して、試合の決勝でも緊張するということがほとんどなくて、道場のスパーリングと同じような感覚で試合することができています。

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この「試合で大切なこと」を意識して戦った2018年の戦績(柔道含む)は8勝0敗。ほぼ全試合でパスガードを決めて、相手からポイントを奪われることは1度もありませんでした。

プロフィール

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

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