柔術愛好家が初動負荷トレーニングをするときの個人的まとめ

初動負荷トレーニング

今年は初動負荷トレーニングを週5〜6日でやってます。1番の目的はケガの影響で狭くなってしまった肩の可動域を広げることなのですが、仕事をしながら毎日トレーニングジムに通うことはいつか実現したいことの1つだったので、このコロナ禍での生活スタイルの変化によって、ようやくそれが実現できたという感じです。

そんなこんなで定休日以外は毎日トレーニングをしているのですが、初動負荷トレーニングを知らない人には「毎日やってるの!?」と驚かれたりします。でも、このトレーニングは翌日に疲労が残るようなものではありません。

今回はそんな初動負荷トレーニングの特徴やメリットを、柔術愛好家の視点からまとめてみました。あまり柔術視点で初動負荷トレーニングを語った記事は見たことがないので、興味があるかたの参考になると嬉しいです。

初動負荷トレーニングの特徴

会員さんはイチロー選手の影響もあってか野球関係者が圧倒的に多いです。トレーニングの合間に鏡の前でピッチングやバッティングのフォームを確認したり、野球関係のウェアを着ているのですぐ見分けがつきます。ほかにもサッカー・ゴルフ・テニス・陸上などの競技者、コンディショニングやリハビリ目的のかたも多いです。平日は部活帰りの学生や社会人・プロスポーツ選手が多くて、MMA選手や力士と遭遇することもあります。土日はコンディショニング目的の社会人や高齢者のかたが多くなります。

トレーニングの特徴は、ざっくり言うと肩甲骨や股関節などの関節の可動域を広げたり強化をすること。トレーニング内容は「動的ストレッチ+負荷」というイメージ。全身の細かな関節や、大きな筋肉の下にある深層筋(インナー)を負荷をかけて刺激します。やってみると分かりますが、かなり全身を使うトレーニングです。

ほぼストレッチ感覚

ほとんど動的ストレッチのような感覚のトレーニングなので、息が切れたり力んだりすることはほぼありません。そのため翌日に疲労が残らないので、毎日でも通えます。理想的なフォームでトレーニングできていると、いつのまにか全身の細かい筋肉が発達して、体の左右差や歪みが改善されます。

ちなみに私はフィールドアスレチック感覚でやっていて、トレーニング中は1時間くらいノンストップ。休憩をまったくとりません。しかも時短のために、次の種目のマシンまで小走りで移動してたりするのでうっすら汗もかきます。ほぼ有酸素運動になっています(笑)

身体操作の難易度は高め

マシンの使い方が独特で身体操作の難易度は高め。でも、常駐してるトレーナーが丁寧にフォローしてくれるので柔術のテクニックを覚えるような感覚で日々上達を楽しみながらトレーニングできます。トレーナーが目的に応じて細かくメニューを作成してくれるので、パーソナルトレーニングのような側面もあります。レベルアップに応じて定期的に種目の追加やフォームのアドバイスをくれるので楽しいです。

普通のフィットネスジムと比べると少し月会費は高めですが、サービス品質を考えると私は妥当かなと思います。

どんな人に向いているか

初動負荷トレーニングは筋肥大を目的としたものではなく、運動パフォーマンスを向上させることに目的があるので、体を大きくすることなく発揮できる力をアップしたい人に最適だと思います。体重別階級制の競技者で、水抜きなどに代表される内臓に負担がかかるような減量をしたくない人にも適してます。柔軟性の向上でケガも減るでしょう。

身体への負担が少ないので、大きな病気や怪我をしたあとのリハビリを兼ねたトレーニングに活用されることもあります。

柔術に活かせるところ

初動負荷トレーニングは、体幹部と手足を繋いている肩甲骨と股関節の可動域を広げて動作をスムーズにさせることに特色があって、自分自身の変化としては、通い始めて数日で身体が柔らかくなって前屈で手のひらが床にぺったりつくようになりました。長く取り組んでいると、可動域が広がって肩甲骨・股関節をいろんな角度でスムーズに動かせるようになるので、ガードポジションで様々な種類のエビがスムーズにできたり、足がきくようになるメリットがあると思います。とくに足回しの内旋・外旋が得意になるでしょう。

それから、間違いなく言えるのは肩や骨盤のポジションが適正な位置になって姿勢が良くなります。あわせて、肩や股関節周辺の筋力がアップするのでベースも強化できます。柔術は偏った姿勢になることが多い競技なので首や腰に不調のある人も多いと思いますが、その改善には最適だと思います。とくに四十肩・ぎっくり腰の改善には効力を発揮すると思います。

柔軟性の獲得で選手寿命が伸びる

プロスポーツ選手でも長く第一線で活躍した選手が、初動負荷トレーニングに取り組んでいます。元メジャーリーガーのイチロー選手が、若い頃から初動負荷トレーニングに注力したことで引退間際までフィジカルが衰え知らずだったことは有名な話です。

通常のトレーニングの場合、運動した後は血流が滞り筋肉が固くなってしまい、動きづらくなります。そして、回復するまでに時間がかかってしまい、結局、そういうトレーニングは、シーズン中にはできないもの、となってしまします。

やればやるほど体が柔らかくなり、やればやるほど動きが良くなっていくというトレーニングに、それまで出会ったことはもちろんありませんでした。求めていたけれど、そんなものは存在しないと思っていたものが、実際に存在していた、という感覚です。

希望のトレーニング イチロー選手のインタビューから引用

元中日ドラゴンンズの山本昌投手も、初動負荷トレーニングのおかげで「人生でもっとも速いボールを40代で投げられた」とインタビューで語っています。また、長くクローザーとして活躍した岩瀬投手も体の使い方や技術の面での影響があったとのこと。

これらの選手たちは肩の可動域を広げ、股関節や腰回りを常に柔らかくしておくことで、40代以降まで動ける肉体を維持していたようです。最近だと、広島カープの鈴木誠也選手も初動負荷トレーニングに注力しているのだとか。

4スタンス理論との関係性

これは私個人の感想ですが、初動負荷マシンを使っていると以下3つの傾向が強いように思います。これらは人間の重心と軸の個体差に着目した身体理論である「4スタンス理論」のA2タイプの特長と一致します。

  • 伸び上がるような動き
  • 中心軸で体幹をスピンさせるような動き
  • 薬指と小指側を意識

Aタイプは、「足裏・膝・みぞおち」を揃えると軸が安定するスタンスなのですが、こちらのほうが肩甲骨や股関節を柔らかく自由に動かすのに適しているのかもしれません。イチローもAタイプです。

それから、代表的な初動負荷マシンである「スキャプラ」「ベルビス」「ヒップジョイント」などで薬指と小指側を意識するようレクチャーされることが多いのですが、これは2タイプ(パラレル)が強みを発揮するポジション。さらにいうと、初動負荷理論ではウサイン・ボルトの走り方が理想的と言われますが、彼は4スタンス理論のA2タイプです。

もしかしたら、A1・A2タイプの強みの強化に適しているのかもしれません。

まとめ

初動負荷トレーニングは、イチロー選手が語っているようにやればやるほど身体が柔らかくなり、やればやるほど動きが良くなるトレーニングだと思います。体験初日で「これはすごいな・・・」と実感して、入会してすぐに柔軟性が向上しています。トレーニングした後は、ウェイトトレーニングのように乳酸が溜まって身体が動かなくなるような感じは全くなくて、むしろ、気持ちよく全身の可動域を伸ばすことで調子が良くなって帰宅しています。

通常のマシントレーニングと違い、直線的な動きだけではなく、ねじり運動を伴う3次元の動きができて、通常の生活や運動ではなかなか使わない部位を伸ばしたり鍛えることが可能になっています。

肩甲骨と股関節を効率よく動かせるようになることで、武術の達人のような合理的で最適な骨格の動かし方をマシンを使って学んでいるような感覚もあるので、自分が今後どれくらい変化できるのかとても楽しみです。

プロフィール

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

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