ブラジリアン柔術での補強運動やクロストレーニングの重要性
今年は足腰と持久力強化が目的で、けっこうな頻度で走ってます。柔術や柔道の練習がない日は、雨が降らない限りほぼ毎日。1kmを5〜6分くらいのペースで1日30分くらいを目標にしています。
そこで気がついたのがクロストレーニングの重要性です。よく「全身運動」と言われる柔術の練習で筋肉痛になることはほとんどないので筋力に自信はあったのですが、ほんの5kmジョギングしただけで筋肉痛になったことには驚きました。
体が慣れてきたので最近はありませんが、痛くなるのは腹筋の横や下側とハムストリングが中心だったので、これらの部位が柔術の練習ではあまり使えていないのだなと痛感しました。
柔術の練習では全身の筋力は使えていない
いつもの柔術の練習は寝た状態のテクニックやスパーリングが中心のため、「まっすぐの姿勢を保つための筋力」があまり必要ではありません。
しかし、ジョギングは立ち姿勢で体幹を立てて、上半身をなるべく脱力しながら広背筋で肘をしっかり後ろに引き、片足を前に振り上げ、着地した足の母指球で地面を斜め前方へ蹴り、逆側の足はハムストリングで後ろへ引く動作の連続です。左右の手足の入れ替えで体にねじれが生じるので、腹斜筋や腹直筋下部もかなり使います。
ジョギングをはじめてから、特にハムストリングと腹斜筋・腹直筋下部が発達してきて足腰もかなり強くなりました。柔術への影響としては、脊柱起立筋をうまく使えるようになって組んだ時の圧力やベースでの力が増していて「なにか特別なことやってるの?」と聞かれたりします。
他競技の練習で実感すること
また、レスリングや柔道の練習に参加すると、だいたい背筋や太腿の裏側が筋肉痛になります。組手で相手に崩されないように、かなり踏ん張って立っているからだと思います。テイクダウンの練習が目的ですが、筋トレや有酸素運動がわりにも活用しています。
打撃系の練習は全く苦にならないのですが、体を捻る腹斜筋などの部分や内腿の筋肉をよく使っている気がします。パンチやキックは体幹を捻る動作が多いので、普段鍛えにくい部分の強化や瞬発力系の動作、グリップファイトでの反射神経の強化にもなっていると思います。
大野将平選手は全身の筋力が自分よりも10kg重い階級の選手と同レベルらしいのですが、インタビューのなかで筋力トレーニングについては「競技で必要な筋力をピンポイントで強化する」と語っています。そして、2019年の世界選手権は全試合で一本勝ち。対戦相手が弱くみえるくらい圧倒的な勝ち方での金メダル。特別な成果を出す選手は、やはり特別なトレーニングに取り組んでいます。
脊柱起立筋の重要性
大野将平選手は、脊柱起立筋がすごく発達しているので立ち姿勢で崩されることが少ないそうです。立ち姿勢での体の軸が組み技の強化に直結するということで、「骨盤を立てる」という意識をとても重要視しています。
骨盤を立てることを重要視するようになってから、柔道での受けが強くなったり、立てた骨盤を相手にぶつける感覚を覚えて大内刈り・小内刈り・大外刈り・内股などの足技の威力が増したように思います。柔道の強豪選手が懸垂やデッドリフトなどのトレーニングに励む理由はここにあるのだと思いました。
まっすぐ立つと骨盤の上に重心がしっかりと乗るので、腕力に頼らなくても崩されず投げられにくくなります。姿勢良い現役選手といえば、柔道男子66kg級の丸山城志郎選手が思い浮かびます。年配のかたでも「達人」と言われるような人は、たいてい脱力していて背筋がピンとしているように思います。
まとめ
このように単一競技の練習だけでは筋力バランスが偏ってしまい姿勢が悪くなってしまったり、高頻度で使用する靱帯をケガしやすくなってしまったりするので、体の使い方の異なる他競技の練習もバランスよく取り入れるのはとても有効だと思います。
私は脊柱起立筋や背筋などを課題にあげていますが、運動の目的や得意な展開によって強化すべき部分は異なると思うので、いろいろと試しながら自分に足りていない部分や伸ばすべきところを研究してみると面白いと思います。
ちなみにヒルマ道場の晝間先生も、姿勢を正すことの有用性を最近ブログでおっしゃってます。強くなるためには必須事項なのかもしれません。
補足事項
筋力トレーニングは、基本的な動作を身につけてから取り組むのがおすすめです。知識や経験の浅いうちから目的もなく筋力トレーニングに注力すると、たいていの人が力に依存した荒っぽいスタイルになって伸び悩むことになるので、初心者のうちはベーシックな動きをマスターすることに注力したほうが良いと思います。
プロフィール
ギロチンチョークの刺繍が人気です
「ギロチンチョーク」はブラジリアン柔術などの寝技の練習をしている人なら、誰でも1度は練習したことがありますよね。私も好きな極め技の1つです。