インタビュー後編:太田純一さん(OOTA DOJO代表)〜なりゆきで始まった格闘技人生

自分らしく懸命に生きている人たちにフォーカスしたインタビューコンテンツ「My Best Of My Life」第6回のゲストは埼玉県内で4店舗のジムを運営するOOTA DOJO代表であり、パンクラス公認審判員の太田純一さんの後編です。

今回は引退後のセカンドキャリアや、これまでの人生を振り返ってみていま思うことなどを語っていただきました。

プロフィール

太田 純一

おおた じゅんいち

1980年生まれ。プロMMA選手として引退後、審判員や道場・カフェ経営など多方面で活動。パンクラス公認審判員。OOTA DOJO代表。柔術茶帯。

主な戦績

・プロMMA戦績 16勝9敗4分
・パンクラス戦績 7勝4敗2分
・ケージフォース戦績 2勝1敗

獲得タイトル
パンクラスゲート ライト級プロ昇格トーナメント優勝(2009年)

太田純一

審判員の仕事について

審判員の仕事は「パンクラスの役にたてばいいな」という思いでここまでやらせてもらって、勉強もさせてもらって。結局のところ自分が「業界に恩返し」とか言いつつも、やっぱりお世話になりっぱなしで。

勉強会って、普通はお金取ったりするんですけど、パンクラスは無料だったんですよ。交通費も出してくれたりして。もちろん、お給料もいただいてます。

パンクラス以外にも、K-1、グラチャン、FightingNexus、クロスオーバー、DEEP、ZST、アウトサイダーだったり、キッズMMAのレフリーをやってます。

柳沢

審判員の仕事の魅力ってなんですか?

太田

1番近くで試合を見れることですかね。審判より近くで試合を観れることなんてないですから。

格闘技ファンの最終形態ですよ。最前列とかそんなレベルじゃないですから。もう目の前ですから。だから本当に格闘技が好きな人間にやって欲しいです。

だからこそ僕は、選手にはケガをして欲しくないですし、止めるにしても責任をもってやりたいです。

柳沢

審判員の仕事で大変なところは?

太田

試合中に自分が判断ミスしたのが分かった時ですかね。いかにミスをしないかですから。100点取らないと常に怒られる立場なんで。

OOTA DOJOのこと

Webサイト・ロゴ・販促物などは、太田さんが自分で作成

プロMMA選手を引退後は、埼玉県の公民館などで格闘技サークルみたいなのやってたんですよ。そこのメンバーから「太田さんジムとか、やらないんですか?」って聞かれたんですよ。

それで、俺のことなんか誰も知らないし「俺のジムなんて誰がくるんだよ」って思ったんですよ。だけど、物件を探してみたら意外に安いので自分のバイト代で賄えるなと思って始めてみたら、意外に人が集まったという感じで。

最初は大宮駅前の雑居ビルの3階で、しかもボロボロのビルでした。そこで5年くらいやって、2016年頃に現在の場所へ移転しました。

TUNETOMO

OOTA DOJOは、太田さんご自身の「理想のファイトスタイルを追求、実現するために開設した総合格闘技道場」というコンセプトですが、太田さんの理想のファイトスタイルってどんなものですか?

太田

丁寧にやる」「ミスをしない」という、なるべく偶然の入り込まない「間違う必要がないものは間違わない」というのが、僕の理想のファイトスタイルです。

僕って最初の頃、むちゃくちゃ弱かったですから。そもそも、格闘技に興味ないですから。寝技も弱いし打撃も弱いしレスリングも弱いし。腕力しかなかったから。

でも、一所懸命に練習して、頭を使えば、僕くらいにはなれるんです。だから、最初はどんなに弱い人でも大丈夫です。

道路からマットの様子が見えます
柳沢

選手の才能を見極める基準ってありますか?

太田

それは「マット運動ができる人」ですね。マット運動ができる人は身体操作に長けているので、それが1番大事かな。

あとは頭の良さだったりするんですけど、それは極論アウトソーシングできるんですよ。セコンドが言ってあげればいいじゃないですか。経験値不足だったら、経験値を補ってあげるのがセコンドの役目なんで。

柳沢

道場経営で大事にしてることはありますか?

柔術インストラクターの山田さん
太田

僕はとにかく「今いる人たちのこと」しか基本的には考えてないです。今いる人たちを僕は大事にしたい。彼らのおかげで、こうやってやっていけているので。

新しい人の言うことを聞くのは重要なんですけど、だからといって何でも受け入れていると、今まで居心地の良かった人たちが逃げてっちゃう。

だから、今いる人たちが「いかに長く続けられるか」っていうのを考えてます。

うちの良さは通いやすいところ。便利なんですよね。道着洗ってくれるとか、道具を置きっぱなしにできるとか、長くやってる割に派閥がないとか。

TUNETOMO

専用コンテナのレンタルが画期的なアイデアだと思ったんですが独自のアイデアなんですか?

事情を知るまで「倉庫なのかな?」と思ってました
太田

そうそう。我ながら良いアイデアだと思ってます。当初は10個くらいだったんですけど人が増えるたびに買い増しして、今は100個くらいあります。

スノコを上に置けば椅子になるし、収納にもなります。

TUNETOMO

柔術着のパッチ縫い付けも道場でやってますよね

太田

そうです。みんながパッチ買ったら「どこで縫い付ければいいんですか?」って言うから、僕がミシンで縫ってます。

TUNETOMO

出稽古無料(道場所属の人限定)が珍しいと思ったのですが、どんな意図があるんですか?

広々としたマットスペース
太田

結局のところ、出稽古して選手が増えれば僕のレフリーの仕事も増えますし、業界が盛り上がれば入会も増えるし。

風が吹けば桶屋が儲かる方式です。そこで小銭を稼いでもしょうがないかなと。

TUNETOMO

プロ選手のマネジメント料も必要ないのが驚きました

太田

選手が目立ってくれれば道場の宣伝になるんで。格闘技のファイトマネーなんてあんまり貰えないので、それだったらうちの所属として試合に出て、しっかり練習して欲しいです。

カフェのこと

ジムから徒歩1分くらい。昼練が終わる13:00頃にオープン
TUNETOMO

カフェを始めた理由ってなんですか?

太田

うちの道場生が夜ここでバーをやってるんですが、昼間は使わないそうなので、場所を貸りて営業してます。

選手がご飯を食べたりするのもいいし、みんなで雑談するのにもいいし。近所の人がお茶しに来たりもします。

あまり儲けは考えてなくて、趣味でやってます。

ペペロンチーノ(大盛り)をいただきました

昼練でお腹が空いたので、太田さんにペペロンチーノを作っていただきました。

ペペロンチーノって「唐辛子・オリーブオイル・ガーリック」の3つだけで構成された非常にシンプルな料理。シンプルだからこそ「ごまかしが効かない」料理です。太田さんのペペロンチーノは本当にシンプルで、なんら具材を付け足さず、ごまかさず。基本に忠実で、本物志向で。とても太田さんらしいなと思いました。美味しかったです!

ドリンクメニューもあります
TUNETOMO

おすすめのメニューってどれですか?

太田

チキン白ワイン煮込みのパスタ(750円)。美味しいですよ。他では食べられない味だと思います。

これまでの人生を振り返って

質問1:自分の人生に意味があったと思いますか?

特にないです。でも、ないから楽しいです。意味を求めすぎちゃうと、人生短いのに楽しめないと思います。

質問2:どうしてもやりたいことはありますか?

どうしてもやりたいことは全部やったんで。やり残したことは特にないです。

質問3:いま、後悔してることはありますか?

いっぱいありますけど、先輩がケガして引退しちゃった時に自分は移籍すべきだったかなと。でも、あそこで上手くいかなかったから今いい感じなので結果オーライです。

質問4:これからの人生で何を大切にしたいですか?

すごく格好良くはなれなかったんで、これ以上カッコ悪くならないことですかね。

質問5:もしあと1年で人生が終わるとしたら、どう生きますか?

やり残したことはないんで、このままなんじゃないですかね。

質問6:これから道場を出すことを考えている人へのアドバイス

「いいものを出せば売れる」っていうのは理想論なんですけど、いいものを出すだけではやっていけないんだけど、「本物を出す」っていうのは最後までブレちゃいけない。本質をずらさないことです。

なんでも「客受けするから」ってなったら、それは僕らのやることじゃない。格闘技をやるんだったら「強くなる」っていうことですよね。だから、あまり商売にとらわれずやって欲しいです。本物の技術を教えて欲しい。

「真面目にやれば後からお金がついてくる」・・・と言いたいところですけど、そうでもなかったり。世の中そんなに甘くないんですけどね。

インタビュー取材を終えて

柳沢

普段からの疑問を直接聞けて学びになりました。
途中こぼれ裏話も面白く楽しい時間過ごさせて頂きました。

太田さんの真摯に格闘技に向き合う姿勢が、
人がついてくる理由だとも感じました。

TUNETOMO

太田さんって、ものすごく楽しそうに練習やクラスに参加するんですよ。
本当に格闘技が好きなんだなと思いました。

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取材スタッフ

TUNETOMO 取材・文/撮影/イラスト/編集

一般会員の柔術愛好家。柔術紫帯。ウェブ解析士の資格をもち、ゴールから逆算したディレクションや運用コンサルティングが得意技。愛犬はトイプードル。

柳沢友也 取材/撮影

1984年生まれ。柔術黒帯。柳澤柔術 代表。14才から名門PURBRED大宮で柔術を習い22才で黒帯になる。柔術歴20年以上。国際大会を中心に入賞を重ね本場ブラジルで修行し更に技術を高める。師匠は故・吉岡大。

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