インタビュー:大森 照美さん(腱引き師)〜関節技への憧れから始まった腱引き師の道

自分らしく懸命に生きている人たちにフォーカスしたインタビューコンテンツ「My Best Of My Life」第2回のゲストは、いつもベーシックセミナーや腱引きでお世話になっている、新大塚道場やわらぎ庵の大森照美さんにお話をうかがいました。

プロフィール

大森 照美

おおもり てるみ

新大塚道場やわらぎ庵 代表

柔術紫帯
サムライメソッドやわらぎ公認施術者
筋整流法腱引き師

日本の女子柔術創成期に活躍したパイオニアの1人。日本古来から柔術に伝わる身体調整法「腱引き」を体験し、その効果のほどに感銘を受け、伝承者の中でも第一人者である「筋整流法」創始者の小口昭宣氏に師事。ブラジリアン柔術を学んだ唯一の腱引き師であり、武術家の平直行氏が主宰するサムライメソッドやわらぎの公認施術者でもある。

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ご自身の学生時代について

運動部には縁がなく、絵を描くのが好きで美術部やマンガ倶楽部に入ってました。背が高かったので、バスケ部にスカウトされたりしましたが、やる気がでなくてやめちゃいました。卒業後はデザインの専門学校に進みました。

漫画家の小林まこと先生に名前を気に入られて、女子柔道部物語4巻に登場

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社会人になってから

専門学校卒業後はデザインの道には進まず、実家に戻って就職しました。

会社員時代に通勤の電車内で痴漢にあって、助けてくれた人が痴漢を「腕がらみ」で撃退してくれました。その光景を目の当たりにして「関節技すごい!」と衝撃を受けたのですが、当時は「腕がらみ」が柔道の技ということも知りませんでした。

その後、当時(1993年)旗揚げしたばかりの「パンクラス」を知り、会社員を辞めて入門しようかと思ったのですが女性は入門できないということで断念。「関節技」への憧れを胸に秘めたまま結婚して、専業主婦となりました。

柔術との出会い

専業主婦になったのち、暇をもてあまして入会したゴールドジムで筋トレにはまる日々を送っていたのですが、ある日、ジムの壁に「正道会館ブラジリアン柔術クラス」のチラシが貼ってあるのを見て入会を決意。柔術の道に飛び込みました。

正道会館ブラジリアン柔術クラスの様子

私は晝間先生(※当時大学生) のクラスによく参加していて、ブラジリアン柔術を始めて10ヶ月目で試合(白帯カーニバル)に出場し、マウントから腕十字を極めて一本勝ち。柔術がやめられなくなりました。

腱引きとの出会い

そんなこんなで柔術を始めて10年。長年の稽古で抱えていた膝の痛みを近所の整骨院や整形外科を転々として治療していたのですが、晝間先生から存在を聞いて行ってみた近所の腱引き道場で、施術してもらったら痛みが一撃で改善。とても衝撃を受けました。

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その後、スポーツ・フィットネス・健康産業総合展 SPORTECで筋整流法創始者の小口昭宣先生と出会い、歩けなかったギックリ腰の患者さんが普通に歩けるようになって帰る姿を見て「私もやってみたい」と思い、小口先生に弟子入り。本部に泊まり込みで技術を学び、自分のように痛みで苦しむ人の手助けをしたいと思い「腱引き師」となりました。

ちょうどその頃、柔術の師匠である平直行氏がサムライメソッドやわらぎを始め、その第一期生となり公認施術者にもなりました。

その後、2015年より新大塚道場やわらぎ庵を開業して現在に至ります。

やわらぎ庵の代表となって

私がおこなっているのは古武術の中で、古来から伝わってきた「腱引き」の技を 現代人にも合うように近年まとめ上げられてきた「筋整流法」という画期的な手技(てわざ)です。筋整流法(古式腱引き療法)は、古くから伝わる古武術の流れを汲んでいます。 

また「サムライメソッドやわらぎ」は、柳生心眼流の流れを汲んでいます。こうした技は古来から「活法」(かっぽう)と呼ばれ 「殺法」と共に武士の時代に伝承されてきました。 「活法」は、身体を調整し生かす技です。

武術の修練の中で、投げ技や関節の極め技など常に身体を壊してしまう危険がありました。その中では急性の腰痛、ぎっくり腰も当然起こり得ます。もちろん、ぎっくり腰に対してだけではなく全身を調整してきた歴史をもっています。人間の身体を熟知した伝統の技だからこそ現代人の身体の悩み(ぎっくり腰、腰痛、肩こり等)に答えることが出来ます。 

やわらぎ庵では、他の整体やマッサージとは違い、全身の腱(筋肉)を引くことで、間違った位置にある腱を正常な働きをする位置に戻し、問題の根源を解消するというアプローチで日々施術をさせていただいております。 

海外や遠方からの来店もあります

オーストラリアから合気道の先生が来店

オーストラリアの合気道の先生からインターネット経由で予約が入り、来日した際にやわらぎ庵にご来店。肘などがボロボロの状態でしたが、改善して喜んでいただけました。遠方からのご予約・来店も大歓迎です。

日本外国特派員協会さんにて腱引きを披露

柳生心眼流 島津兼治先生、筋整流法 小口昭宣先生と列席

日本外国特派員協会(FCCJ)さんにて腱引きを披露しました。元々「腱引き」は戦国時代から柔術家が使う「殺活」の人を生かす「活法」の1つなのですが、こちらの協会にて「クールジャパン」の1つとして「腱引き」が紹介されました。

今後どのような事をやっていきたいですか?

オモプラータを極める大森先生

やわらぎ庵を続けながら、自分の田舎(千葉県匝瑳市)にも柔術と腱引きを広めたいなと思っています。

自分自身の強みはどこにあると思いますか?

女性特有の悩み(月経前症候群など)にも対応できることです。

「腱引き」は腱を引いて正常な位置にもどします。一般的な整体やマッサージとは違い、揉んだり摩ったり押したりしません。筋肉を揉みほぐしたりしてマッサージをすると、筋肉は外れた腱を外へと押し出したり、さらに強くねじれてしまうこともありますが、腱引きは腱を引くことで体内の流れ・血液・リンパ液の循環を良くして、さまざまな体調不良の改善、頭痛、疲れ・だるさ、女性特有の悩みなどにも対応することができます。 

大切にしていることはなんですか?

仲間との絆です。

好きな言葉や座右の銘があれば教えてください。

100回のスパーリングより1回の試合

試合で負けて泣いてる私に先輩が言ってくれた言葉

試合で負けて泣いてる私に先輩が言ってくれた言葉です。1回の試合がいろんな気づきをくれますよね。

TuneLog読者へメッセージ

最後に、ブラジリアン柔術の「白帯・青帯」が多いTuneLog読者の方々に向けてメッセージをいただきました。

武術は団体戦です。仲間を大事にしてください。

普段会えないような人に会えるじゃないですか。たとえば学生さんが会社の社長さんと仲間になったり。いろんなことを学べるのが「道場」だと思います。

大森 照美

まとめ

インタビューの様子。晝間先生は、大森先生の歴史にも詳しいです(笑)

大森先生といえば、試合会場で仲間のサポートや負傷した選手の手当てをする姿がとても印象的だったのですが、もっとも大切にしているのは「仲間との絆」だと伺って納得しました。

はじめて先生から肩の腱引き施術を受けた際、脇にある腱を指で弾かれて電流が流れるような衝撃があったのですが、その一撃で可動域がかなり改善したことにはとても驚きました。四十肩やぎっくり腰の方にはぜひオススメしたいです。

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取材スタッフ

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

必須の技術を忘れないために

えび

ブラジリアン柔術などの寝技の攻防で必須の技術の1つに「えび」というムーブがあります。えびのように身体を曲げ伸ばしして、下からのポジショニング調整に使うのですが、初心者はおろそかにしがち。

そんな基本ムーブを忘れないよう、普段から刺繍グッズを身につけるのはおすすめです!