教則動画レビュー:村田良蔵の極めて勝つクローズドガード
クローズドガードの教則はこれまでいろいろ学んできたので「もうこれ以上は必要ないかな?」と思っていたのですが、この教則動画を見終わった最初の感想は「なんだか知らない技術がいっぱいあるぞ!?」という驚きでした。
そんな、村田良蔵選手の「クローズドガードからの極め」に特化した教則動画の収録内容について、見どころや感想などをレビューしてみました。
村田選手について
村田 良蔵
1980年生まれ。柔術黒帯。OVER LIMIT札幌代表。YAWARA柔術アカデミー代表。スポーツ柔術日本連盟 代表理事。
ホイラー・グレイシー系のクリスチアーノ・カリオカ氏に師事し、北海道初のグレイシー直系 黒帯所持者となる。SJJIF世界選手権マスター2黒帯フェザー級2018・2019優勝。
主な戦績
・アブダビ日本予選フェザー級 1位(2013年)
・アブダビ日本予選フェザー級 3位(2014年)
・名古屋国際 マスターフェザー級 1位(2015年)
・SJJIF 世界選手権マスター2黒帯フェザー級準優勝(2016年)
・SJJIF 世界選手権マスター2黒帯フェザー級準優勝(2017年)
・SJJIF 世界選手権マスター2黒帯フェザー級優勝(2018年)
・SJJIF 世界選手権マスター2黒帯フェザー級優勝(2019年)
・ASJJF ROLLING TOUR ART.3 勝利(2022年)
・INDIA INTERNATIONAL OPEN JIU JITSU TOURNAMENT2022 優勝(2022年)
この教則動画の見どころ
「クローズドガード」は、ほとんどの柔術道場で入門してすぐに教わる技です。そのため、クローズドガードからの極め技はベーシック技術として誰もが知っており、単発の極めではすぐディフェンスされてしまいます。
しかし、グレイシー柔術創始者のエリオ・グレイシー、2000年代に圧倒的な強さを誇ったホジャー・グレイシー、ヒクソンの息子であるクロン・グレイシーなどのグレイシー直系の選手たちは、ベーシック技術で対処法が広く知られている技でも極める細かい技術を持っています。
村田良蔵選手のクローズドガードは、そんなグレイシー直系の技術を継承しているところに特長があります。
細かい技術がいかに大切か
ベーシックな技術で相手を制するためには、組み手やポジショニングの細かい調整がものすごく大切です。
この教則では、相手にプレッシャーをかけ続けるための「コネクション」と呼ばれる技術や、腕のどの位置を掴むのか、重心をどこに置くのか、肘や膝のコントロールを調整することで、小さな力で相手をコントロールして極めるための手順がとても丁寧に解説されています。
テコの原理や人間の身体の反射の仕組みを駆使しているので、体格やフィジカルの強さに関係なく誰にでも使える技術になっていて、すでに知識や経験の積み重ねがある方でも学び直す価値のある教則だと思いました。
収録内容について
初心者はクローズガードからの極めは技が単発になりがちですが、この教則動画は技の連携や、技がディフェンスされた場合に狙う技がパッケージ化されており、全部覚えるとクローズドガードの攻防が上達するような構成です。
収録内容は基礎レベルから始まって、少しずつ難易度があがっていき、高難度の応用技まで紹介されています。全体的に言えるのは、身体の使い方や基本的な技術が洗練されていてムーブが美しく、グレイシー直系ならではの動きかもしれないですが、見慣れたベーシックな技なのに「そんなこともできるの??」という驚きがあります。
チャプター
- クローズドガードでの脚の組み方
- クローズドガードから相手のベースを崩す① グリップを外す
- クローズドガードから相手のベースを崩す② 上に崩す
- クローズドガードから相手のベースを崩す③ 両腕のフレームを外す
- クローズドガードから相手のベースを崩す④ 肘で押してきた場合
- クローズドガードから相手に立たれた時① スイープ→マウント
- クローズドガードから相手に立たれた時② スイープを耐えてきたら
- クローズドガードから相手に立たれた時③ マッスルスイープ
- クローズドガードから相手に立たれた時④ マーメイドスイープ
- クローズドガードからのクロスグリップスイープ
- クローズドガードからの片襟片袖の作り方
- クローズドガードからの十字絞め
- 十字絞めをディフェンスされた場合 脚を使った絞め&アームバー
- クローズドガードからの三角絞め
- 三角絞めをディフェンスされた時の対処
- クローズドガードからのモンジバカ
- クローズドガードからのキムラ
- キムラをディフェンスされた時の対処 グリップを切る
- キムラをディフェンスされた時の対処 アームバー
- キムラをディフェンスされた時の対処 バックテイク
- キムラをディフェンスされた時の対処 コムロック
- クローズドガードからのバックテイク
- ヒップスロー(ヒップバンプ)スイープ
- クローズドガードからバックテイク 脇でコントロール
- クローズドガードからのフラワースイープ→アームバー
- クローズドガードからの変形アームバー
- クロスグリップのセットアップ&アタック概要
- クロスグリップからのアームバー
- クロスグリップからの三角絞め
- クロスグリップからベースを作ってきたらオモプラッタ
- クロスグリップからのオモプラッタを防がれたらアームバー
- クロスグリップからの後転スイープ アタック
- 相手が立った状態からのクロスグリップスイープ
- 相手が立った状態からのクロスグリップ ベースを取ってきた場合 スイープ
- 相手が立った状態からのクロスグリップ 高いベースを取ってきた場合 膝十字固
さらに、この本編とは別で付録として柔術ドリルが26種類も収録されており、村田選手の細かいディテールを意識したムーブを学習できるようになっているので、伸び悩んでいる白帯・青帯にも最適だと思います。
また、後半のチャプター27から始まるクロスグリップからの展開は、村田選手の試合を見ていると組み手のチャンスを常に狙っていて、相手の反応によって「こういう選択肢もあるのか!」というところまで分かってとても勉強になります。
ダウンロード形式のVimeo版と、DVD・Blu-ray版があります
BJJチャンネルさんの前作と同じく、丁寧なテロップ編集でレクチャー内容に全て字幕が入っていて、映像だけでも学べるよう配慮されています。ダウンロード形式のVimeo版と、パッケージ形式のDVD・Blu-ray版があるのですが、両方買う人がけっこういるらしいです(驚)
Vimeo版
DVD・Blu-ray版
まとめ
私は最近になって、ちょうどクローズドガードの極めの練習に注力していたところだったのですが、この教則動画はいろいろと目から鱗でした。
これは私の勝手な印象ですが、基本姿勢のコンセプトは伊東元喜さんに近いけど、伊東さんよりもフィジカルの強さは必要なくて、極めのタイトさは山本博斗選手のようだけど、山本選手よりもクラシカルでベーシックに忠実な感じ。そして、プレッシャーが非常に強いので、組み手が完成したら逃れることは難しいでしょう。
村田選手が連携技で得意としているラッソーガードやスパイダーガードの教則動画も、続編としてぜひ見てみたいですね!
プロフィール
こちらもオススメ!
Twitterで更新情報を発信しています
公式 Xアカウントにて、ブログの更新情報や最新アイテムのリリース情報などを発信しています。もしよろしければフォローをお願いします(^人^)