ブラジリアン柔術 白帯が読むべき5つの重要なヒント
ブラジリアン柔術 白帯の「道場でのサバイバル事情」について、海外ではどうなんだろう?と疑問に思って調べてみたところ、日本の柔術愛好家にも有益な情報が見つかったので、意訳ですが海外記事をざっくりと日本語化してみました。ニュアンスが分からない部分は自分なりの解釈をしていたり簡略化したりしてますが、参考にしていただけると幸いです。
今回は、BJJ WORLDさんの「BJJ White Belt Survival Kit: 5 Essential Tips For Beginners」という記事(2018年4月)です。筆者のOgnen Dzabirskiさんは柔術歴10年(執筆当時)。25歳から柔術のキャリアをスタートして現在は指導者となっているフェザー級の黒帯選手で、おそらくアメリカ在住の柔術家です。
▽ 以下より日本語化した記事となります。
初心者のための5つの重要なヒント
私がブラジリアン柔術の白帯の頃は、技術情報がなかなか手に入りませんでした。そして、私が受けたのは「とにかく続けろ」という激励だけ。練習中は自分が何をしているのかほとんど分からず、練習のたびに打ちのめされていました。当時はブラジリアン柔術の白帯にとって分かりやすい簡単な手順はもちろんのこと、指導を受けることすら大変でした。しかし今日では状況が大きく異なっています。
まず、私たちはインターネットを通じた究極のコミュニケーション手段を持っています。そして、ブラジリアン柔術が世界の隅々にまで普及するにつれて競技人口が増えています。これは年を追うごとにオンラインで共有される体験が飛躍的に増えていることを意味します。
その中から、私の個人的な経験と他の競技者が共有している一般的な経験を組み合わせることで、ブラジリアン柔術の白帯全員が読むべきヒントのリストを作成しました。あなたの柔術を楽しくするために必要な全ての情報をお伝えしたいと思います。
ブラジリアン柔術白帯の苦闘
白帯のおもな苦闘は、肉体的なものであると同時に心理的なものでもあります。まず第1に、あなたは再び1年生です。あなたは新しい環境に放り込まれて、すでに強い絆を持っている新しい人間関係の一員となります。さらに、自分が何をしているのか全く分からないまま、世界で最も難しいスポーツの1つを学ぼうとしています。格闘技経験があっても同様です。このスポーツの本質は、長い時間はもちろんのこと、1時間に何度も敗北を認めざるを得ないということです。それは誰も好まない感情であり、人間の基本的な心理に反しています。少なくとも最初は。
クロスフィットのチャンピオン、マラソンランナー、経験豊富なキックボクサーでも関係ありません。どんなにコンディションが良くても、洗礼を浴びることになります。そして、今まで知らなかった筋肉が痛み、自分がどれだけ弱い存在なのかすぐに分かることでしょう。
でも安心してください。これらの試練は全てが上達の糧となります。大切なのは相手の対処や反応から学ぶことです。そうすることで、同じ状況になったら自分も同じことができるようにするということです。具体的には、ほとんどの初心者が学ぶべき組技の技術には共通点があります。それらを初心者が理解するにはとても時間がかかります。自分で学ぶことは常に良いことですが、他者から学ぶことは非常に簡単です。
1. 現状を受け入れる
柔術をはじめる前に、一つのことを理解する必要があります。武道経験者も最初から始めなければなりません。つまり、何も知らないという事実を受け入れる必要があるということです。
知ったかぶりをすると、学習が難しくなります。柔術は非常に複雑な格闘技で、上達するには何年もかかります。黒帯に到達するには平均で約10年。その間に大学を卒業したり、小さな(または大きい)ビジネスを展開したりすることもできるくらいです。習得には忍耐が必要で、白帯の間は常に学び、自分の知らないことを他人に教えようとは決してしないことです。
2. ケガをしない
いくら柔術に夢中になっても、ケガをすると練習できません。さらに、1人でトレーニングすることもできません。
実力者の紫帯からタップしないと決めたら、自分自身を危険に晒すことになります。まず第一に、タップしないというのは柔術白帯としてはもちろんのこと、柔術全体としても良い考えではありません。紫帯は恐らくあなたを傷つけることはないでしょう。それなのに無理したり、思い切り走り回ったりするとケガをします。その責任は自分自身にあります。タップをすることで自分の技術を再編成・再検討することができます。そのようにして学習するのです。
さらに悪いのは、スパーリング中に制御できない不必要な動きをして他人を傷つけてしまうこと。あなたが勝ちたいと思っているのは分かりますが、人の顔にニーオンベリーするようだと練習パートナーから嫌われます。自分1人だけでは対人練習できませんよね?
3. アカデミーを尊敬する
ジムに入会して仲間入りすると、特定の場所で特定のグループと何時間も過ごすことになります。それだけでなく、ほとんどの時間を他の人と非常に近い場所で過ごします。つまり、ジムの外でどんな行動をするにしても、マットの上ではアカデミーのルールを尊重しなければなりません。
それらのルールの中でも「尊敬」が第一です。レッスン中はトレーニングパートナーとインストラクターを尊重してください。余計なことを言ったり、からかったり、発言したりする必要はありません。怠けたいと思っているなら、誰かの時間を無駄にするよりも家にいた方がいい。あなたの仲間たちは、今日何か新しいことを学びに来ています。なぜあなたのせいで彼・彼女が苦しむ必要があるのですか?
柔術白帯が次に理解しなければならないのは、個人の衛生状態です。ほとんどの柔術ジムは、施設を清潔に保つために多くの時間を費やしています。私たちは寝転がっていることが多いので、あまりに臭いと 「オモプラータ」 と言う前に仲間がいなくなってしまいます。ギであろうとノーギであろうと、トレーニング器具と身を清潔に保ちましょう。さらに、貴重な宝石を全てはずしてください。誰かに、もしくは自分自身に深刻な傷を負わせることになります。
最後に、病気になったり肌の調子が悪くなったりするのは当然のことですが、治るまで家にいなさい。誰もあなたの細菌を共有したくありません。
4. 柔術に専念する
もしあなたが柔術と人生を真剣に考えているなら全てを捨てて「ジムに住みなさい」とまでは言わないけど、自分の好きなツールを活用して優れたグラップラーになることを目指す必要があります。
オープンマットはそのツールの1つですが、単なるスパーリングの時間ではありません。柔術ジムにふさわしいことなら何をやっても構いません。先輩に質問したり、別のパートナーと練習したり、コンディショニングや柔軟性に重点を置いて練習したりします。時間はたっぷりあるし、オープンマットで様々なことを学べます。
もう1つの大きな要素は「準備」です。世界的な選手である必要はないですが、スタミナや体力があるからといって損はありません。柔術以外の運動をすることで体力を向上させましょう。ランニングをしたり、数人のスタッフを懸垂に連れて行ったりしましょう。あるいは、学校の友達と一緒にジムでウエイトトレーニングをしたり、ヨガをすることで柔軟性を向上させることもできます。何をするにしても、柔術の上達に役立つでしょう。
同様に、良い食事の習慣を身につけてください。アカデミーの他の人が何を食べているのかを聞くだけなので難しいことはありません。ほとんどのグラップラーは健康的なものを食べる傾向があるので、真似することは難しいことではありません。
5. 質問とメモ
最後に、技術的な観点から見れば、柔術を始めることであなたはかつてないほど混乱するでしょう。しかし、これは誰でも同じなので大丈夫です。常に進化し進歩するために必要なことは質問をすることです。より経験豊富なインストラクターや、インターネットのフォーラムで質問してください。ジムのスタッフは「理解できないことを質問することで上達する」と知っています。柔術の白帯にとってはそれが全てです。
そのため、白帯はインストラクターに質問できるタイミングを待っているでしょう。インストラクターは、クラスの邪魔にならなければ喜んで応対してくれます。スパーリング中に尋ねるのは適切ではないですが、オープンマットなら全く問題ありません。
また、学校と同じように、起きたことを書き留めるのは良いアイデアです。すべてを覚えている人はいません。柔術の白帯ならなおさらです。膨大な量の情報は言うに及ばず、ムーブの名前さえも混乱するでしょう。そのため、ノートを持ってきてメモしておくと良いです。授業で習ったこと質問したことの両方を書き残しておきましょう。それらは、あなたが白帯から青帯になり、最終的には黒帯なる際に大いに役立つでしょう。
まとめ
筆者は幼少期より柔道や空手などで20年の武道経験があったものの、柔術では青帯に全く敵わず「負けることが学びにつながる」と自分に言い聞かせる必要があったとおっしゃっています。大切なのは、負けた場合でも学習し、その知識をその後の全ての練習や試合に活かして、変化を受け入れ、進歩して、それを毎秒楽しむことだとのこと。
海外でも日本でも柔術を始めたばかりの白帯の大変さは一緒なんだな、と思いました。
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私の所属道場での白帯サバイバル事情についての記事ですが、BJJ WORLDさんの記事と共通点が多くて興味深いです。
プロフィール
必須の技術を忘れないために
ブラジリアン柔術などの寝技の攻防で必須の技術の1つに「えび」というムーブがあります。えびのように身体を曲げ伸ばしして、下からのポジショニング調整に使うのですが、初心者はおろそかにしがち。
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