総務省の都道府県別の人口推計との比較から柔術の競技人口の地域格差を推測

総務省が2019年4月に発表した日本国内の都道府県別人口推計と、柔術の話題ばかりのこのブログの過去1年間の都道府県別のアクセスユーザー数を比較してみたところ、面白い傾向が見えてきたのでレポートしたいと思います。

これまでにも何度かアクセスユーザーの傾向からブラジリアン柔術の日本国内での競技人口の地域格差を推測してきましたが、実際の都道府県別の人口とこのブログのアクセスユーザー数を比較してみることで、ブラジリアン柔術に興味のある人口が多い地域・少ない地域がどこなのか見えてきました。

国内人口は東京一極集中が止まらない

まず日本国内の現状として、どうやら国内人口は東京への一極集中が止まらず、6年連続で東京都が人口増加率でトップのようです。日本の総人口が0.21%減少する中で東京都の人口は逆に0.72%増えていて、東京都を含む東京圏(神奈川、埼玉、千葉)の4都県は全て人口が増えているが、全国で増加しているのは7都県のみ。他の40道府県は人口が減少傾向のようです。

政府は若者が過疎地域などで一定期間働く「地域おこし協力隊」や地方での起業支援策などを打ち出しているけど、それほど成果は上がっていないという社会的な背景があります。

人口の多い都道府県ランキング TOP10

ずっと「このブログへのアクセスがとても多いな」と感じていた地域は、やはり人口自体がとても多いことが分かりました。TOP10の顔ぶれはこのブログへのアクセスユーザー比率のTOP10と全く同じです。

日本の総人口は統計によると2019年4月現在1億2644万人のようなので、ブラジリアン柔術の競技人口が3万人と仮定すると各地域の人口に0.00024を掛ければおよその柔術人口となるので一覧にしてみました。

1位 東京1382万人(柔術人口:3317人)
2位 神奈川917万人(柔術人口:2200人)
3位 大阪881万人(柔術人口:2114人)
4位 愛知753万人(柔術人口:1807人)
5位 埼玉733万人(柔術人口:1759人)
6位 千葉625万人(柔術人口:1500人)
7位 兵庫548万人(柔術人口:1315人)
8位 北海道528万人(柔術人口:1267人)
9位 福岡510万人(柔術人口:1224人)
10位 静岡365万人(柔術人口:876人)
柔術人口は柔術競技者数(約3万人)÷国内総人口(1億2644万人)から算出した人口比率を用いたおよその数値です

人口の少ない都道府県ランキング TOP10

前項とは逆に人口の少ない都道府県のランキングTOP10です。最下位の鳥取は東京の1/24の人口で、およその柔術人口は134人。関東在住だと、試合会場に100〜200人くらいの柔術家が集まっていることは珍しくないですが、地方ではかなり難しいことのように思われます。

1位 鳥取56万人(柔術人口:134人)
2位 島根68万人(柔術人口:163人)
3位 高知70万人(柔術人口:168人)
4位 徳島74万人(柔術人口:178人)
5位 福井77万人(柔術人口:185人)
6位 山梨82万人(柔術人口:196人)
7位 佐賀82万人(柔術人口:196人)
8位 和歌山94万人(柔術人口:226人)
9位 香川96万人(柔術人口:230人)
10位 秋田98万人(柔術人口:235人)
柔術人口は柔術競技者数(約3万人)÷国内総人口(1億2644万人)から算出した人口比率を用いたおよその数値です

国内アクセスユーザー比率ランキング TOP10

このブログの国内アクセスユーザー数、過去1年間のデータと実際の人口比率を比較してみました。東京の場合、アクセスユーザー数は実際の人口よりも24%も多く、大阪は7.6%・神奈川は4.0%実際の人口よりも多くなっています。逆に、その他の地域は人口よりもアクセスユーザー数が少なくなる傾向が見られました。

この検証結果は、実際に住んでいる場所と職場が異なるユーザーの数が浮き彫りになっているように思います。東京が圧倒的に増えてしまうのは、東京都内の職場へ千葉・埼玉・茨城などの地域から通勤しているユーザーが職場付近からPCやスマホなどでアクセスしているのではないかと推測されます。おそらく大阪・神奈川もそれと同じ傾向と思われます。

また、数値的に面白いのは北海道で、国内の人口比率は4.2%あるのに対し、アクセスユーザー比率は1.9%とかなり少なくなっています。北海道から近隣の都府県の職場に通勤するのはかなり難しい地域だと思われるので、これは面積の広さや人口密度が結果に関連しているように思います。人口は多いけど面積が広いので柔術道場があるのは札幌などの都市部に偏っていて、郊外にまで普及していないため柔術家の人口は少なくなるのではないかと推測しています。

1位 東京34.9%(実際の人口比率:10.9%)
2位 大阪14.6%(実際の人口比率:7%)
3位 神奈川11.3%(実際の人口比率:7.3%)
4位 愛知5.4%(実際の人口比率:6%
5位 千葉4.3%(実際の人口比率:4.9%
6位 埼玉3.8%(実際の人口比率:5.8%
7位 福岡3.2%(実際の人口比率:4.0%
8位 兵庫2.2%(実際の人口比率:4.3%
9位 北海道1.9%(実際の人口比率:4.2%
10位 静岡1.5%(実際の人口比率:2.9%

都道府県別の人口推計とブログアクセス比率の比較データ

1番上の青い見出しをクリックすると、その項目の順位でデータがソートされます。

都道府県人口(万人)人口比率(%)アクセス比率(%)差異(%)
北海道528.64.21.9-2.3
青森126.31.00.4-0.6
岩手124.11.00.5-0.5
宮城231.61.80.9-1.0
秋田98.10.80.1-0.7
山形109.00.90.2-0.7
福島186.41.50.4-1.1
茨城287.72.31.4-0.8
栃木194.61.50.5-1.0
群馬195.21.50.6-0.9
埼玉733.05.83.8-2.0
千葉625.54.94.3-0.7
東京1382.210.934.924.0
神奈川917.77.311.34.0
新潟224.61.80.8-1.0
富山105.00.80.4-0.4
石川114.30.90.4-0.5
福井77.40.60.2-0.4
山梨81.70.60.1-0.5
長野206.31.60.5-1.1
岐阜199.71.60.4-1.1
静岡365.92.91.5-1.4
愛知753.76.05.4-0.6
三重179.11.40.5-0.9
滋賀141.21.10.5-0.7
京都259.12.01.2-0.8
大阪881.37.014.67.6
兵庫548.44.32.2-2.2
奈良133.91.10.3-0.7
和歌山93.50.70.3-0.5
鳥取56.00.40.2-0.3
島根68.00.50.1-0.4
岡山189.81.50.4-1.1
広島281.72.20.5-1.7
山口137.01.10.3-0.8
徳島73.60.60.5-0.1
香川96.20.80.2-0.5
愛媛135.21.10.4-0.6
高知70.60.60.2-0.4
福岡510.74.03.2-0.8
佐賀81.90.60.2-0.4
長崎134.11.10.8-0.2
熊本175.71.40.7-0.7
大分114.40.90.3-0.6
宮崎108.10.90.1-0.7
鹿児島161.41.30.8-0.5
沖縄144.81.10.7-0.4

まとめ

関東近郊で柔術をやっているとあまり地方との差を感じる機会は少ないのですが、以前に鹿児島から試合のために東京まで来ていた方に「関東は試合がいっぱいあって羨ましい」と言われたことがあります。都内で試合や出稽古先に困ることはほとんどないし、やはり恵まれた地域で練習できていることをありがたく思ったほうがいいなと痛感しました。

柔術の国内競技人口を増やすには

また、現在約3万人とされている柔術の国内競技人口をもっと増やすという業界全体としての課題を実現するためには、気軽に体験できる場所が増えることかなと考えています。ゴールデンウィーク中にJBJJF主催のジュウジュツパークというイベントで体験会やトークショー、柔術大会上映会などがあったようですが、素晴らしいチャレンジだと思いました。

今回は試合と並行してのイベントのため、試合の応援に来ている客層が中心だったこともあって客足の伸びない展示もあったようですが、応援に来ている人たちは「家族や道場の仲間の試合を見ること」がメインなので、ある程度は仕方のないことなのかなと思います。ぜひ今後も内容をブラッシュアップしながら継続して欲しいなと思います。

特に柔術大会の上映会の客足が伸びていなかったようですが、寝技を見ただけで素人に魅力が伝わるなら、プロレス界で関節技の鬼と言われた藤原喜明さんや木戸修さんはもっとスター選手になれたはずです。彼らはずっと「玄人好み」「いぶし銀」と呼ばれていました。やはり寝技の技術や駆け引きの面白さは、体感している人にしか分からないのだと思います。

寝技とは「玄人好み」で「いぶし銀」でマニアックな世界なのです。

「サーフィン」だって、かなりマニアックな競技

まったくの素人がサーフィンをやってみたくなる理由を想像してみてください。その人が魅力的だと感じているのは単に「波の上を板に乗って滑ること」だけではないはずです。それだけでは柔術と同じくかなりマニアックな競技です。多くの人は、おそらくサーフィンをやっている人たちのライフスタイルそのものに憧れてたり、異性から「モテたい」といった感情の人がとても多いように思います。だから昔「丘サーファー」というスタイルが流行ったのではないでしょうか。

この事例から「素人が試合を見ただけでは魅力を理解することが難しい=マニアックな競技」ということを大前提として、全くの素人が気軽に楽しさを体験できる場所を増やすことと、世間に影響力がある人の柔術家としてカッコイイ(モテる)生活をしているという情報の発信が効果的な気がします。柔術をやる有名人、もっと増えるといいなー。。。

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プロフィール

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

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