1990年代の体育会系特有の文化について

僕が大学で1年ほど所属していた体育会の日本拳法部。練習もハードでしたが、体育会系特有の文化のほうがもっと大変でした。日大のアメフト部の問題で体育会系文化が話題になったので、これから大学体育会に入部する予定の方に向けて、ちょっと当時のことを思い出して書いてみました。

これは1990年代の体育会系のエピソードなので、今の時代であればパワハラ・アルハラ・モラハラなどで大問題になりそうですが、SNSで個人が情報発信をすることがないため事件にでもならない限り世間に知られることもなく、大抵のことは許される時代でした。

新入生を勧誘する時はVIP待遇

体育会特有の縦社会の命令系統から、なるべくたくさん新入部員を獲得するよう命令されている2回生の先輩たちが全力で接待してくれました。先輩たちの奢りで美味しいものを食べに連れて行ってくれたり、ボーリングなどの遊興施設に遊びに連れて行ってくれたりします。

新入生のご機嫌をとるような接し方をしたり、自虐ネタで笑いをとろうとしますが、そこで油断して強めのツッコミを入れたりフランクすぎる対応で恨みを買ってしまうと、入部後から「あの時、お前あんなこと言ったよな」と確実に報復されます。気をつけましょう。

4回生は神様、1回生は奴隷という縦社会

4回生は神様、3回生は王様、2回生は平民、1回生は奴隷。この縦社会のルールを入部すると徹底的に叩き込まれます。基本的に1回生の指導は2回生が行い、部内のルールや1回生がやるべき部内での役割を徹底させます。

3・4回生は1回生にとても優しいのですが、もし気に入らないところがあると、裏で2回生に矯正するよう指示を出します。その指示には常軌を逸したものまで含まれていますが、2回生はその嫌われ役も引き受けて1回生を指導します。

強く強要されるルールには以下のようなものがあります。社会人になってから体育会系の企業で歓迎される習慣も多々あります。

  • 先輩が言うことは絶対。後輩にNoという選択肢はない。
  • 先輩がタバコを出したらすぐに火をつけられるよう、各自ライターを持っておくこと。
  • 飲食店では必ず下座に座り、先輩たちの食べたいものを聞いて注文をすること。
  • お酒が運ばれてきたら先輩のコップに注ぎ、コップが空になったらすぐに継ぎ足すこと。
  • エレベーターの扉が開いたら先輩たちが乗るのを待って最後に乗り、到着したら真っ先に降りて扉を開けておくこと。
  • 電車での移動時は壁で空気椅子。

例えるなら、相撲部屋の横綱と付き人のような関係。
卒業後、OBになってもこの先輩・後輩の関係性は続きます。

先輩が注いだ酒は必ず一気飲み

体育会系の基本ですが、先輩からコップに注がれた酒は必ず一気飲みしなければなりません。

「お酒が弱い」「体質的に飲めない」などの事情があったとしてもこの慣習には逆らえません。どうしても飲めない場合、隣に座っている別の後輩が代わりに飲まねばならず、両隣が飲めない人だと地獄を見ることになります。

酒を持参で先輩が突然家にやってくる

体育会系の先輩は、後輩に酒を飲ませるために大量の酒を持って突然下宿先まで複数人で押しかけてきます。酒好きなら耐えられるかもしれませんが、苦手な人だと本当に参ってしまいます。いつも来る2回生の先輩にどうしてなのか理由を聞いてみたところ「先輩から代々続く伝統だから」とのこと。仲良くなってから「先輩たちと僕らの代だけでも、もうやめにしませんか?」と何度か交渉を試みましたが「俺たちには変えられない」という回答でした。

基本的に全て先輩のおごりなので金銭面での負担はないのですが、あらゆる面で気を使わなければならず疲弊します。もし実家から大学へ通っていると、この伝統からは逃れられます。

命じられるとやらねばならない伝統芸

上級生から命じられると絶対に誰かがやらねばならない伝統芸があり、代表的なものに「セミ」と「ホタル」がありました。おそらくどこの学校でもこの類いの慣習はあると思います。

伝統芸「セミ」とは

先輩が電信柱を指さして「あっ、あそこにセミがいる!」というと、下級生の誰かがその電信柱によじ登って「ミーンミーン」とセミの鳴き真似をしなければいけません。先輩と一緒に行動していると、いかなる状況でもこの指示がでる場合があるので気が抜けません。公共の場ではとても恥ずかしいです。

伝統芸「ホタル」とは

先輩が「あれ?あそこにホタルがいる!」と少し離れた暗がりを指さすと、後輩はその場所へ走っていってライターで脇や陰部などの体毛を燃やします。あまりに頻度が高いと全ての体毛が焦げてなくなってしまいます。さすがに女性部員はこの芸を強要されることはありません。

恐怖の新入生歓迎コンパ

新入生が正座して横一列に並んで座り、ビール瓶を持った先輩・OBが行列になってコップにビールを代わる代わる注いでくれます。注がれたビールは必ず一気飲みせねばならず、1人あたりのノルマがビールの中瓶(500ml)を20本なので約10リットル。新入生の背後にはバケツが置いてあって、いつ吐いてもいいように準備がされています。現役合格していれば1回生は未成年者なので、こんな伝統を今でも続けていたら大問題です。

隣にお酒が飲めない体質と先輩が認めた同級生や女子が座っている場合、代わりに飲まねばならないのでお酒が強い人も大変です。

退部するには「退部金」が必要なこともある

私は部長の自宅まで直訴に行って理解してもらえたので特別に免除してもらえましたが、退部する際には法外な金額の「退部金」を納めるという恐ろしい慣習があったようです。

まとめ

もし有名大学の体育会運動部であれば、OBからの推薦で大手企業に入社できたりするかもしれませんが、平凡な大学のマイナー運動部ではそれも期待できません。あまりにも酷い場合は我慢せずに、早めに別の道を選んだほうが良いです。その際はブラジリアン柔術の道場がオススメですよ!

プロフィール

TUNETOMO 取材・文/イラスト

柔術紫帯。柔道黒帯。上級ウェブ解析士。デジタルマーケティングによるWeb戦略提案とUI/UXディレクションが専門分野。柔術とイラストレーションと洋服が好きすぎて、オリジナルのアパレルSHOPまで作ってしまった。

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