「できない」から「やりたい」へ。未経験者を育成するコツ

平凡な教師は話して聞かせる。 よい教師は説明する。 優秀な教師はやってみせる。 しかし最高の教師は子どもの心に火をつける。 

ウィリアム・アーサー・ウォード 1921年 – 1994年

映像作家の菱川勢一さんがnoteに書き留めていたこの言葉に触れて、改めて自分のなかで再認識しのは、指導者が生徒の「もっと学びたい!」という心に火をつけることの重要性でした。

そこで今回は、生徒の心に火をつけるような「未経験者を育成するコツ」についてまとめてみました。

ARCSモデル」について

ARCSモデルとは、アメリカの教育工学者、ジョン・M・ケラー(John M. Keller)が1983年に提唱した 学習意欲(モチベーション)を高め、維持するための4つの要素「Attention(注意喚起)」「Relevance(関連性)」「Confidence(自信)」「Satisfaction(満足)」の頭文字をとった、教育心理学の動機づけモデルです。

おもに教育現場や企業研修で活用されているのですが、柔術の指導にも活かせそうだなと考えています。

「ARCSモデル」の4つの要素

※点火レベル = 学ぶ人の心に火がつくレベル感

まず、学ぶ人の「興味・好奇心」を刺激して関心を惹きつけるよう工夫します。その際に、指導する内容の中でも魅力や面白さが凝縮されているポイントから伝えます

講義の最初から「面白くなさそう」と思われてしまうと、挽回するのがとても難しくなるので、料理でいう「最も美味しいところ」からプレゼンします。

柔術の指導であれば、まず「そのテクニックの魅力」を凝縮して伝えるということ。そうすることで好奇心を刺激します。

その題材が、学ぶ人にどのような関連性があるのかを伝えます。そうすることで、学ぶ人がその題材に対して親和性を持てるようにします。

柔術の指導であれば、そのテクニックを学ぶことで得られる「メリット」や「どんな人に向いているのか」などを伝えることでしょう。

プライベートレッスンであれば、学ぶ人の「適性」「ご本人の技術体系とのマッチ度合い」「学ぶことで改善できるポイント」などを伝えると良いでしょう。

題材のなかで、簡単なものからスモールステップで成功体験を積み重ね、段階的に「自分もやればできそう」という感覚を育みます。

柔術の指導であれば、まずは基礎運動などの簡単なムーブから始めて、段階的に難易度を上げてテクニックを指導していく感じかなと思います。

その際に、学ぶ人が自分で計画したり工夫をして成功する体験ができると、モチベーションが継続する原動力になったりします。

学習の成果や努力が報われた」という瞬間を体験することで、次の学習意欲につなげていきます。

柔術であれば、頑張って練習していた技がスパーリングで掛かるようになったり、試合で勝てるようになったり、昇帯の瞬間がそれに該当するかと思います。

柔術をやっていて、誰もが心に火が灯る瞬間ですよね。

※ARCSモデルは学習へのモチベーションに焦点を当てた「授業や教材を魅力的なものにするため」の仕組みなので、単体ではなく「指導内容の質」や「教え方」などと組み合わせて活用します

「運と縁」について

どんなに素質があっても、指導者の「専門性」や「相性」、「設備・人的環境」などの要因で成長が鈍化するということは多々あります。

年齢を重ねるほど実感したのですが、特定分野で大きく成長するためには「出会い」の要素がとても重要です。そして、「出会い」には運と縁の要素が大きく関係しています。

人と人が出会うということ

「出会い」は、人生に偶然をもたらす要素です。出会いによって人は自分の想像を超えて成長することがあります。

アスリートの「相性の良い環境や師との出会いで急成長を遂げた」というエピソードはよく耳にしますが、そこに巡り会うには「的確な自己分析」と「行動力」が必須だと思います。

努力は運の幅を広げる

目標に向けて懸命に「努力している人」は、運の幅を広げることがあります。

その努力が実って自分で道を切り開くこともあれば、周囲から推されて「君にはあの先生の指導方針が合うと思うよ」などと、自分では辿り着けなかった情報に出会える可能性が広がったります。

まとめ

「人に教える」「人を育てる」ということは、自分が先人たちから受けてきた恩恵の社会還元であり、優秀な人材を輩出することで次世代の社会貢献にも繋がります。

私にとっては「子育て」がその位置付けだったのですが、振り返ってみると大変だったけど学びも非常に多く、本当に有意義な時間だったなと思います。

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